第1部『ファントムブラッド』は、phantom(幻・幽霊)と blood(血)を合わせた英語です。
第6部『ストーンオーシャン』と第8部『ジョジョリオン』は、作者自身が題の意味を説明しています。「石」は徐倫の意志で、「海」は女性の象徴。「..lion」は「祝福されるもの」などの意味がある古い言葉だそうです。
実は第1〜5部の副題は連載当時にはなく、第6部の執筆時からあとに付けられたもの。「戦闘潮流って何と読むの?」という疑問も含めて、9部ぶんの意味と根拠を表にまとめました。
ジョジョ各部の副題の意味(早見表)
まずは9部ぶんを一覧で。作者の言葉がある部は、その要点も入れました。
| 部と副題(英字の題) | 語の意味 | 作者の言葉の要点 |
|---|---|---|
| 第1部 ファントムブラッド(Phantom Blood) | phantom(幻・幽霊)+blood(血) | —(最初の案は「ファントム ブラッドライン」) |
| 第2部 戦闘潮流(Battle Tendency) | 戦闘+潮流(潮の流れ・時勢の動き) | — |
| 第3部 スターダストクルセイダース(Stardust Crusaders) | stardust(星くず)+crusader(十字軍戦士) | —(最初の案は「スターダスト トラベラーズ」) |
| 第4部 ダイヤモンドは砕けない(Diamond is Unbreakable) | 日本語のとおり(unbreakable=割れない) | — |
| 第5部 黄金の風(VENTO AUREO) | イタリア語でも「黄金の風」(英語圏では Golden Wind) | 登場人物たちを『黄金の風』と呼んだ |
| 第6部 ストーンオーシャン(Stone Ocean) | 石(ストーン)+海(オーシャン) | 石は徐倫の意志、海は女性の象徴。または石でできた海=牢獄 |
| 第7部 STEEL BALL RUN(スティール・ボール・ラン) | 作中のレースの名前 | ジョジョでなくなったのでこの題に |
| 第8部 ジョジョリオン(JoJolion) | ジョジョ+..lion | ..lion は「祝福されるもの」「記念の印」などの意味がある古い言葉だそうだ |
| 第9部 The JOJOLands(ザ・ジョジョランズ) | lands(土地・国) | —(連載前の予告は「JOJOLANDS(仮)」) |
意味を調べると、作者の説明とファンの解釈が混ざって出てきやすいところ。右の列に作者の言葉が入っているのは第5〜8部で、どれも文庫版のあとがきか、単行本・雑誌の作者コメントに書かれたものです。
「—」の部は、語の意味と副題が付いた経緯を下の節で紹介します。
副題はいつ付いた? 第1〜5部はあとから
今使われている副題は、第6部の執筆時からあとに付けられたものです。それまでのサブタイトルは、部の番号と主人公の名前が中心でした。第1部なら「第一部 ジョナサン・ジョースター ―その青春―」です。
作者の荒木飛呂彦は、第3部を描いていたころから副題を付けるつもりでした(集英社文庫版第1巻のあとがき、2002年)。ところが、すでに出ていたジャンプ・コミックスと食い違うという理由で、編集部に却下されています。
今の副題の最初の案は、第6部の連載が始まったあとの2000年に出た画集『JOJO A-GO!GO!』で発表されました。
連載時のサブタイトルと、今の形になるまでの流れを部ごとに整理しました。
| 部 | 連載時のサブタイトル | 今の形になるまで |
|---|---|---|
| 第1部 | 第一部 ジョナサン・ジョースター ―その青春― | 『JOJO A-GO!GO!』で「ファントム ブラッドライン」→文庫版で今の形 |
| 第2部 | 第二部 ジョセフ・ジョースター ―その誇り高き血統 | 後年に付けられた |
| 第3部 | 第三部 空条承太郎 ―未来への遺産― | 『JOJO A-GO!GO!』で「スターダスト トラベラーズ」→のちの版で今の形 |
| 第4部 | 第4部 東方仗助 | 後年に付けられた |
| 第5部 | 第5部 ジョルノ・ジョバァーナ【黄金なる遺産】 | 後年に付けられた |
| 第6部 | 第6部 空条徐倫 ―『石作りの海(ストーンオーシャン)』 | 連載時から |
| 第7部 | なし(題名が『スティール・ボール・ラン』) | 2005年のウルトラジャンプ移籍後に正式に第7部 |
| 第8部 | なし(題名が『ジョジョリオン』) | 連載当初から第8部 |
| 第9部 | なし(題名が『The JOJOLands』) | 2021年に「JOJOLANDS(仮)」と予告 |
連載当時のジャンプの掲載号を探すなら、今の副題より主人公の名前が手がかりになります。
第1部〜第9部の副題の意味を部ごとに
ここからは1部ずつ、語の意味と連載時のサブタイトル、残っていれば作者の言葉を確かめていきます。
ファントムブラッドの意味(第1部)
第1部『ファントムブラッド』は、英語で「Phantom Blood」と書きます。phantom は「幻、幻影、幽霊、お化け」、blood は「血」という意味です。
連載時のサブタイトルは「第一部 ジョナサン・ジョースター ―その青春―」でした。
『JOJO A-GO!GO!』(2000年)で発表された最初の案は「ファントム ブラッドライン」。文庫版を出すときに、今の形に直されています。
bloodline は「血統」を意味する英語です。第2部の連載時のサブタイトル「―その誇り高き血統」にも、同じ「血統」の語が入っています。
「ファントムブラッドライン」という表記を見かけたら、それは2000年に出た最初の案のほうです。
戦闘潮流の意味と読み方(第2部)
第2部『戦闘潮流』の読みは「せんとうちょうりゅう」です。英語の題は「Battle Tendency」。
潮流には「潮の流れ。海水の流れ」と「時勢の動き。時代の傾向」の2つの意味があります。英語の tendency も「傾向」という意味で、潮流の2つ目の意味と重なる語です。
連載時のサブタイトルは「第二部 ジョセフ・ジョースター ―その誇り高き血統」でした。
混同しやすいのが、第1〜5部の連載当時の『週刊少年ジャンプ』に添えられていた「ロマンホラー!—深紅の秘伝説—」。これは編集部が考えたキャッチコピーで、副題ではありません(『週刊少年ジャンプ』1998年9号のコラム)。
このキャッチコピーは、単行本には載っていません。
スターダストクルセイダースの意味(第3部)
第3部『スターダストクルセイダース』の英語の題は「Stardust Crusaders」です。stardust は「星くず」、crusader は「十字軍戦士」を意味します。
連載時のサブタイトルは「第三部 空条承太郎 ―未来への遺産―」でした。物語は、承太郎がジョセフたちと、DIOの潜むエジプトを目指す旅です。
『JOJO A-GO!GO!』で発表された最初の案は「スターダスト トラベラーズ」。のちの版を出すときに、今の形に直されています。
ダイヤモンドは砕けないの意味(第4部)
第4部『ダイヤモンドは砕けない』は、日本語のとおりの意味の副題です。連載時のサブタイトルは「第4部 東方仗助」でした。
文庫版で付けられた英語表記は「Diamond is not Crash」。英語として誤った表現だったため、のちに「Diamond is Unbreakable」へ変わっています。
ゲーム・画集・アニメ・実写版で使われているのは、あとの「Diamond is Unbreakable」です。英語の題で探すなら、「Unbreakable」のほうで調べてください。
黄金の風の意味(第5部)
第5部『黄金の風』の読みは「おうごんのかぜ」です。日本語版に添えられたイタリア語の「VENTO AUREO」も、同じ意味を表します。
vento は「風」、aureo は「金の」という意味のイタリア語です。連載時のサブタイトルは「第5部 ジョルノ・ジョバァーナ【黄金なる遺産】」でした。
第5部は舞台がイタリアなので、主人公の名前も「JOJO」ではなく「GIOGIO」と書かれます。単行本第47巻の作者コメントによると、イタリアでは「J」が外来語か古語にしか使われないためです。
作者の言葉が残っているのは、集英社文庫版の第39巻(『黄金の風』最終巻、2005年)のあとがきです。最後に登場人物たちへ向けて、「君たちは、苦しくつらい時に吹いてくれる『黄金の風』なのだ」と書きました。
副題と同じ言葉で、作者は登場人物たちそのものを呼んでいるわけです。
ストーンオーシャンの意味(第6部)
第6部『ストーンオーシャン』の意味は、作者自身が書いています。集英社文庫版の第40巻(『ストーンオーシャン』第1巻、2008年)のあとがきです。
「ストーンオーシャン」とは「石(ストーン)」は徐倫の意志、「海(オーシャン)」は女性を象徴的に意味する。もしくは「石でできた海」、この舞台である牢獄のイメージを意味する。
「石=牢獄」とだけ覚えていた人は要注意。2通りの意味のうち、作者が先に挙げているのは「石=徐倫の意志」「海=女性」のほうです。
第6部は、今の副題を連載の時点で持っていた最初の部です。連載時の表記は「第6部 空条徐倫 ―『石作りの海(ストーンオーシャン)』」でした。
第1〜3話の題も「石作りの海(ストーンオーシャン) その①〜③」です。
徐倫のスタンドについてはストーン・フリーの能力の記事にまとめています。
スティール・ボール・ランの意味(第7部)
第7部『スティール・ボール・ラン』は、作中の北米大陸横断レースの名前です。1890年9月25日にサンディエゴを出発し、約6,000km先のニューヨークを目指す乗馬レースとして描かれます。
主催者の名前はスティーブン・スティール、ジャイロ・ツェペリが戦いに使うのは鉄球です。英語の steel は「鋼、鋼鉄」を意味します。
連載が始まったとき、第7部は『ジョジョの奇妙な冒険』とは別の新作として扱われていました。
題の理由が書かれているのは、第1話が載った『週刊少年ジャンプ』2004年8号の作者コメントです。「ジョジョでなくなったっていう事で」この題にした、とあります。
第7部の位置づけは、第7部第1巻(2004年)のコメントにも出てきます。「実質的に『ジョジョの奇妙な冒険』PART 7として描かれている」という一文です。
続けて、初めてここから読む読者のために、あえてそのことを強調したくないと述べています。
2005年に掲載誌が『ウルトラジャンプ』に移ってから、正式に第7部として扱われるようになりました。
第6部を描き終えたころの題の案も残っています。集英社文庫版第50巻(『ストーンオーシャン』最終巻、2009年)のあとがきです。
そこには「タイトルは「スティール・ボール・ラン(仮)」か?」と、当時の考えが書かれています。
第6部までと世界が違う理由は、第7部が一巡後の世界かパラレルかで整理しています。
ジョジョリオンの意味(第8部)
第8部『ジョジョリオン』は、「ジョジョ」と「..lion」を合わせた言葉です。題の意味は、荒木飛呂彦が『ジョジョリオン』第2巻(2012年)のコメントで説明しています。
作者は、「..lion」には「祝福されるもの」「記念の印」などの意味があるそうだ、と書いています。昔のギリシアなどの古い言葉だそうです。
題にした理由は、こう続きます。
「ジョジョ」との合成語で主人公「定助」が、この世に存在する事の意味としてタイトルにさせていただきました。
同じコメントでは、「ピグマリオン」や「エヴァンゲリオン」について「関係あるかどうかは知りません」とも添えています。
連載の初めから『ジョジョの奇妙な冒険』として扱われたのが、第7部との違いです。主人公・東方定助がどうなるかは、ジョジョリオンの結末で追えます。
The JOJOLandsの意味(第9部)
第9部『The JOJOLands』の読みは「ザ・ジョジョランズ」です。land には「陸、陸地、土地、国、国土」などの意味があります。
物語は、ハワイで大富豪を目指すジョディオ・ジョースターを描きます(公式ポータル)。2026年10月時点で連載中の作品です。
題は連載の前から予告されていました。予告が載ったのは、『ジョジョリオン』最終話と同じ『ウルトラジャンプ』2021年9月号です。
そこには「少し休んで、新『JOJOLANDS(仮)』でお会いしましょう。」とありました。正式な題が発表されたのは、同誌の2023年1月号です。
第9部第1巻(2023年)の作者コメントで意味が語られているのは、題ではなく作中の名前「ノーヴェンバー・レイン」です。「NOVEM」とは「9」という数のこと、と書いています。
副題と主人公のスタンドに共通する語
第3部から第6部までの4つの部では、副題と主人公のスタンド名に同じ言葉が入っています。『JOJOVELLER』の「HISTORY」(2013年)によると、作者が意図して入れたものです。
そこでは、副題に主人公のスタンドと同じく、鉱物や自然界の4大元素の言葉が含まれると説明されています。
重なる語を部ごとに表にしました。
| 部と副題 | 主人公のスタンド | 重なる語 |
|---|---|---|
| 第3部 スターダストクルセイダース | スタープラチナ | スター |
| 第4部 ダイヤモンドは砕けない | クレイジー・ダイヤモンド | ダイヤモンド |
| 第5部 黄金の風 | ゴールド・エクスペリエンス | 黄金(ゴールド) |
| 第6部 ストーンオーシャン | ストーン・フリー | ストーン |
| 第7部 STEEL BALL RUN | タスク | なし |
| 第8部 ジョジョリオン | ソフト&ウェット | なし |
| 第9部 The JOJOLands | 11月の雨(ノーヴェンバー・レイン) | なし |
第7部から第9部には、重なる語がありません。副題からスタンド名を思い出す覚え方は、第3〜6部の4つで使えます。
よくある疑問
副題とあわせて気になりやすい、「ジョジョ」という名前・英語の題・単行本の表紙の3つに答えます。
そもそも「ジョジョ」とはどういう意味?
「ジョジョ」は、各部の主人公が持つ愛称です(第5部は「GIOGIO」)。第8部『ジョジョリオン』と第9部『The JOJOLands』の題には、この愛称がそのまま入っています。
ビートルズの「ゲット・バック」(Get Back)の歌詞にも、「ジョジョ」という名前が出てきます。この曲との関係が話に出たのは、『ジャンプノベル』1993年4月1日号の対談です。
大槻ケンヂが「ジョジョは『ゲットバック』に出てくるジョジョですよね」と聞き、作者は「そうです」と答えています。
2013年の『JOJOVELLER』HISTORY では、初代担当編集の椛島良介との対談で名前の付け方に触れています。頭文字をJ・Jにそろえて「韻を踏みたかった」、という説明です。
「ゲット・バック」と「頭文字のJ・J」は、どちらも作者の言葉として残っている由来の話です。
副題は英語で何と言う?
早見表の英字の題のうち、間違えやすいのは第5部です。英語圏での副題は「VENTO AUREO」ではなく「Golden Wind」と発表されています。
英語版では、副題と同じ名前がスタンドにも付いています。ジョルノのスタンドは「Golden Wind」、徐倫のスタンドは「Stone Ocean」です。
英語で「Golden Wind」や「Stone Ocean」と調べると、部とスタンドの両方が出てくるのはこのためです。ほかのスタンドの英語名はスタンドや部の英語名の一覧で確かめられます。
単行本の表紙に副題がないのはなぜ?
ジャンプ・コミックスは第5部が終わる第63巻まで、副題を書かずに『ジョジョの奇妙な冒険』の題で出ています。部の切れ目も巻の途中にあり、たとえば第5部は第47巻の71ページから始まります(第47巻の作者コメント)。
理由は、「副題はいつ付いた?」の節で触れた編集部の判断です(集英社文庫版第1巻のあとがき)。
あとから出た文庫版などは、部と副題ごとに区切って出ています。書名に副題が入るのは、第6部の単行本からです。
副題ごとに分かれた本で読みたいなら、文庫版を探してみてください。巻の範囲は部ごとの巻数の一覧にまとめています。
根拠となる作者の発言と資料
本文で取り上げた作者の言葉と、それが載っている本や雑誌の一覧です。
| 発言・記載 | 出典(媒体・年) | 示すこと |
|---|---|---|
| 第3部から副題を付けるつもりだったが、編集部が却下 | 集英社文庫版第1巻のあとがき(2002年) | 第1〜5部の副題は連載時のものではない |
| 新しいサブタイトルの仮名称を発表 | 画集『JOJO A-GO!GO!』(2000年) | 「ファントム ブラッドライン」「スターダスト トラベラーズ」が最初の案 |
| 副題に、主人公のスタンドと同じく鉱物や4大元素の言葉 | 『JOJOVELLER』HISTORY 152ページ(2013年) | 副題とスタンド名の重なりは作者の意図 |
| 「ジョジョでなくなったっていう事でSBR(スティール・ボール・ラン)」 | 『週刊少年ジャンプ』2004年8号の作者コメント | 第7部の題になった理由 |
| 「実質的に『ジョジョの奇妙な冒険』PART 7として描かれている」 | 『STEEL BALL RUN』第1巻の作者コメント(2004年) | 第7部の位置づけ |
| 「タイトルは「スティール・ボール・ラン(仮)」か?」 | 集英社文庫版第50巻のあとがき(2009年) | 第6部を描き終えたころの題の案 |
| 石は徐倫の意志、海は女性の象徴。または石でできた海=牢獄 | 集英社文庫版第40巻のあとがき(2008年) | 第6部の副題の意味 |
| 登場人物たちへ「苦しくつらい時に吹いてくれる『黄金の風』なのだ」 | 集英社文庫版第39巻のあとがき(2005年) | 作者が登場人物たちを「黄金の風」と呼んだ |
| 「..lion」は「祝福されるもの」「記念の印」などの意味がある古い言葉だそうだ | 『ジョジョリオン』第2巻の作者コメント(2012年) | 第8部の題の意味 |
| 「新『JOJOLANDS(仮)』でお会いしましょう」 | 『ウルトラジャンプ』2021年9月号 | 第9部の題は連載前に予告されていた |
| 「『ゲットバック』に出てくるジョジョ」かと聞かれ「そうです」 | 『ジャンプノベル』1993年4月1日号の対談 | 「ジョジョ」と「ゲット・バック」の関係 |
| 頭文字をJ・Jにして「韻を踏みたかった」 | 『JOJOVELLER』HISTORY の対談(2013年) | 「ジョジョ」の名前の付け方 |
12件のうち4件が、集英社文庫版のあとがきです。第5部・第6部の副題と第7部の題の案を原文で読みたいなら、文庫版の第39・40・50巻にあたるのが近道です。
関連する記事
参考
- 「ジョジョの奇妙な冒険」公式ポータルサイト ABOUT
- 『ジョジョの奇妙な冒険』集英社文庫版 第39巻・第40巻・第50巻のあとがき(集英社、2005年・2008年・2009年)
- 『ジョジョリオン』第2巻(集英社、2012年)
- Wikipedia「ジョジョの奇妙な冒険」
- Wikipedia「スティール・ボール・ラン」


コメント