プッチ神父の目的は、親友DIOが遺した「天国へ行く方法」の実行です。すべての生き物が自分の運命を前もって知り、「覚悟」できる世界を目指しました(第6部第17巻)。ジョースター家との因縁を持ち越さないよう、徐倫たちを先に倒そうとします。
「プッチに何の得があったの?」「緑色の赤ちゃんって何?」は、第6部を読み終えても残りやすい疑問です。この記事では、プッチの過去から骨と赤ちゃんの正体、計画の結末までを一本の線でたどります。
この記事は第6部『ストーンオーシャン』の結末まで触れます(ネタバレを含みます)。
プッチ神父の目的は何だったのか
目的そのものは1つでも、「なぜ」「どうやって」「どうなったか」まで並べると流れが見えてきます。巻は第6部の単行本の巻数(第1巻から数え直し)で、「アニメ」と付いた話数はアニメ『ストーンオーシャン』の話数です。
| 問い | 原作での答え | 根拠 |
|---|---|---|
| 何を目指したか | 全生物が運命を知り、覚悟できる「天国」 | 第17巻 |
| なぜ目指したか | 妹ペルラの死と、DIOの「引力」の言葉への共感 | 第15巻/アニメ第31話 |
| どうやって | DIOの骨から生まれた緑色の赤ちゃんと融合し、スタンドを2回進化させる | 第9巻・第11巻・第16〜17巻 |
| 何を防ごうとしたか | ジョースターの血統を新しい世界へ持ち越させない | 第17巻 |
| どうなったか | 一巡しきる前にエンポリオに倒され、天国は未完成で消えた | 第17巻/アニメ第38話 |
表の上から順に、このあとの見出しで根拠をたどります。アニメ公式サイトの人物紹介でも、プッチは「DIOの意志を継ぎ、ジョースター家の最大の敵として立ちはだかる」神父です。
プロフィールや声優、出てくる巻を探しているなら、プッチ神父のスタンド・声優・最後までの記事のほうが早く見つかります。
プッチ神父の言う「天国」とは
プッチの言う「天国」は、死んでから行く場所ではありません。DIOが見つけたのも、死なずに天国へ行く方法でした(第6巻/アニメ第12話)。
宇宙を一巡させると、すべての生き物は「これから先、いつ何が自分の身に起こるか」を潜在意識の中で把握します(第17巻)。
土台にあるのは、「幸福とは覚悟である」という考え方。あらゆる悲劇や絶望を前もって「覚悟」できる世界こそ、プッチの求めた天国でした。
第17巻の「メイド・イン・ヘブン その④」は、雑誌では「人類の幸福」という題でした。掲載は『週刊少年ジャンプ』2003年13号です。
プッチが掲げたのは、自分ひとりではなく人類全体の幸福だったわけです。
「天国」という言葉自体は序盤から出てきますが、中身は終盤まで伏せられています。途中で「天国って結局なに?」となりやすいのは、そのためです。
ノートの6つの条件と14の言葉は、天国へ行く方法の記事にまとめています。
プッチ神父はなぜ天国を目指したのか
出発点は、妹ペルラの死です(第15巻/アニメ第31話)。この事件のあと、プッチは目的のためなら手段を選ばないと決めました。
妹ペルラの死と「運命」
回想で描かれるプッチの過去を年の順に追うと、次のようになります。
| 時期 | 出来事 | 根拠 |
|---|---|---|
| 1972年 | 双子の弟が、死んだ赤ん坊とすり替えられる | 第15巻/アニメ第31話 |
| 15歳の神学生のころ | 教会でDIOをかくまい、足の指を治してもらい鏃を受け取る | 第15巻/アニメ第31話 |
| その翌年 | 懺悔を聞き、死んだはずの弟が生きていると知る | 第15巻/アニメ第31話 |
| 同じころ | ペルラが自殺し、ホワイトスネイクが目覚める | 第15巻/アニメ第31話 |
| その後 | 弟の記憶を奪い、DIOの親友になる | 第15巻/アニメ第31話 |
この過去が明かされるのは、物語の終盤の第15巻です。手段が先に描かれ、動機はあとから明かされるので、途中で目的を見失いやすいところです。
弟のウェスは、妹ペルラの恋人でした。懺悔の中身は聖職者として口外できず、プッチは探偵に2人を別れさせるよう頼みます。
ところが探偵は差別主義者で、仲間とウェスを襲いました。ウェスが殺されたと思ったペルラは、身を投げてしまいます。
ペルラの死を招いた数々の偶然と自分の行動を、プッチは激しく悔やみます。そのとき鏃が刺さり、ホワイトスネイクに目覚めました。
プッチは、運命を克服することに強くこだわる人物です。手段を選ばないと決めたのは、DIOの言う「人と人の間の『引力』」に共感したからでした。
双子の弟の能力と、記憶を奪われていた理由はウェザー・リポートの記事で詳しく扱っています。
親友DIOから「天国へ行く方法」を託される
ペルラの事件のあと、プッチは「引力」や「運命」の話を聞きにDIOを訪ねます。2人は互いの家を行き来する親友になりました。
DIOがノートに書いた「信頼できる友」は、プッチのことです。DIOは天国の存在と、そこへ行くにはプッチの協力が欠かせないことを伝え、自分の骨も渡しています(第6部の回想)。
そのノートは、DIOが倒されたあと承太郎が焼き捨てました。そこでプッチは、承太郎から記憶のDISCを奪います(第3巻/アニメ第6話)。
ノートの中身は、奪った記憶から知りました。第6部の序盤で承太郎がDISCを抜かれたのは、天国の計画のためだったのです。
DIOの骨と緑色の赤ちゃんとは
DIOの骨は、消えたザ・ワールドの代わりです。骨は2つ出てきて、1つは緑色の赤ちゃんになり、もう1つは融合に使われます。
ノートの条件には、DIOのスタンドであるザ・ワールドが入っています。DIOが倒されてスタンドも消えたため、骨がその役目を引き受けました。
DIOの骨は2つある
2つの骨を並べると、役目の違いがはっきりします。
| 項目 | 1つ目の骨 | 2つ目の骨 |
|---|---|---|
| どうなったか | 蘇らされて暴走し、囚人を植物に変える | プッチの手に埋め込まれていた |
| 役目 | 魂を集めて緑色の赤ちゃんになる | 赤ちゃんとの融合に使われる |
| 巻・話 | 第6〜9巻/アニメ第12・15・19話 | 第11巻 第95話/アニメ第22話 |
ここで押さえたいのは、赤ちゃんになる骨と融合に使う骨が別だという点です。プッチの手に埋め込まれていた2つ目の骨は、DIOが生前に渡していたものでした。
1つ目の骨は、ホワイトスネイクがスポーツ・マックスに命じて蘇らせたものです。勝手に動き出して姿を消した骨を追うため、徐倫はわざと罰を利用して懲罰房に入ります(アニメ第15話)。
緑色の赤ちゃんが生まれるまで
緑色の赤ちゃんは、DIOの骨が囚人たちの魂を吸って生まれた存在です。正式な名前は分かっていません。アニメ公式サイトのあらすじでは、「緑の赤ん坊」と書かれています(アニメ第22話)。
植物の性質を持つ人型の生き物で、長いまつ毛が目立ちます。体には、ジョースター家やDIOと同じ星形の痣があります。
骨が蘇ってから、徐倫たちが赤ちゃんを捕まえるまでの流れです。
| 出来事 | 原作 | アニメ |
|---|---|---|
| 骨が蘇って暴走し、徐倫が追って懲罰房へ | 第6〜7巻 | 第12・15話 |
| 骨を拾った小男のそばで囚人が植物になる | 第9巻 第76〜77話 | 第19話 |
| 植物が根でつながって魂を吸い、赤ちゃんが実る | 第9巻 第76〜77話 | 第19話 |
| 徐倫とアナスイが赤ちゃんを捕まえる | 第10巻 | 第21〜22話 |
骨が蘇ってから赤ちゃんが生まれるまで、原作では3巻ほどかかります。あいだに看守や囚人との戦いが続くので、赤ちゃんが急に出てきたように見えるわけです。
植物になった囚人の魂を吸う段階は、ノートの条件の「極罪を犯した36人以上の魂」にあたります。集英社の第9巻の紹介文にも、小男の持つ「骨」が不可思議な現象を起こしていた、とあります。
14の言葉で融合する(第11巻 第95話)
赤ちゃんを奪ったプッチは、14の言葉を告げます。赤ちゃんはプッチの手に埋め込まれたDIOの骨にも呼応し、プッチと融合しました(第11巻 第95話/アニメ第22話)。
融合を終えたプッチは、そのままグリーン・ドルフィン・ストリート刑務所を去ります(アニメ第23話)。雑誌掲載時には、編集者が付けたあおり文句で、融合したプッチが「ザ・ニュー神父」と呼ばれました。
融合でプッチに起きた変化
融合したプッチの体には、星形の痣が現れます。徐倫や承太郎など、ジョースター家の血を引く人の「存在」を感じ取れるようにもなりました。
ケープ・カナベラルに着くと、ホワイトスネイクはC-MOONに進化します(第16巻/アニメ第33話)。さらに「重力を最も軽減できる位置」に達して、メイド・イン・ヘブンになりました(第17巻/アニメ第36話)。
プッチは、骨から赤ちゃん、C-MOON、メイド・イン・ヘブンへと、消えたザ・ワールドの役目を順に再現していきました。重力を逆転させる能力は、C-MOONの記事で確かめられます。
プッチ神父の目的は果たされたのか
果たされていません。プッチはエンポリオに倒され、宇宙の一巡は完成しないまま終わります(第17巻/アニメ第38話)。
天国は、魂に一巡分の記憶を引き継がせる仕組みです。死んだ人は天国に入れません。そこでプッチは徐倫たちを先に殺し、「ジョースターの因縁」を持ち越させないようにしました(第17巻)。
一巡後の世界では、あらゆる運命があらゆる生き物の魂に記憶されていました。天国の条件は、ほぼ満たされつつあったのです。
障害になったのは、ただ1人生き残ったエンポリオでした。彼には「プッチから逃れる運命」があり、プッチは彼を殺すため時の加速を途中で止めます。
加速を始めたのは元の宇宙の2012年3月21日、止めたのは新しい宇宙の2011年11月です。始めた日まで戻る前に止めたので、一巡が完成していません。
エンポリオはわざとプッチに殴らせ、徐倫から託されたウェザー・リポートのスタンドDISCを自分に押し込ませます。部屋に満ちた酸素でプッチは酸素中毒になり、交渉も一蹴されて倒されました。
プッチが死んだことで天国は崩れ、以前とは少し違う世界が生まれます。一巡のあとの世界で誰がどうなったかは、メイド・イン・ヘブンの仕組みと一巡後の世界の記事で追えます。
よくある疑問
ここからは、計画の流れを追っても引っかかりがちな5つの疑問に答えます。赤ちゃんの正体と能力、プッチ自身の得、DIOとの違い、そしてプッチが自分をどう見ていたかです。
緑色の赤ちゃんはDIOなのか
緑色の赤ちゃんはDIOの骨から生まれ、DIOと同じ星形の痣を持っています。ただし、正式な名前は分かっていません。
ノートに照らすと、赤ちゃんは天国へ行くために生まれる新しい存在です。「DIOの骨から生まれた、天国のための存在」と覚えておくと、第11巻の融合の意味が見えやすくなります。
緑色の赤ちゃんのスタンド能力は
スタンドはグリーン・グリーン・グラス・オブ・ホームです。近づくものを、赤ちゃんとの距離に比例して小さくします(第10巻/アニメ第21話)。
どれだけ近づいても縮み続けるので、相手は決して触れられません。逆に赤ちゃんが投げた石は離れるほど大きくなり、岩になって相手を襲いました。
荒木飛呂彦は、この能力の発想を「無限のパラドックス」からだと述べています。出典は『JOJOVELLER完全限定版 STANDS』(2013年)の作者コメントです。
プッチ自身にはどんな得があったのか
プッチが掲げたのは、「天国」の節で見た「人類の幸福」です。一巡した世界では誰も運命を変えられませんが、プッチだけは自分と他人の運命に干渉できます(第17巻)。
要するに、全員が運命を知る世界で、運命に手を出せるのはプッチだけです。最後にエンポリオが逆手に取ったのも、この点でした。
DIOとプッチの「天国」は同じものなのか
出どころは同じ、DIOのノートです。ノートは全人類に幸福をもたらすための理論で、それを運命と覚悟の世界として実行したのがプッチでした(第17巻)。
DIOは、無敵の肉体や大金、人の頂点に立つことでは本当の幸福は得られない、と語っています(第6部の回想)。真の幸福を見た者こそが真の勝利者だ、というのがDIOの考えです。
原作の第6部のDIOは、プッチの回想で登場します。天国に着いたDIOのほうは、ゲーム『アイズオブヘブン』のオリジナルの設定です。
プッチ神父は自分を悪だと思っていたのか
プッチは、自分の行いは正しいと信じて疑わない人物として描かれます。DIOの息子たちのことも、自分を守る道具のように思っていました。
双子の弟ウェザー・リポートは、プッチを「自分が『悪』だと気付いていない、最もドス黒い『悪』だ」と呼びました(第6部)。プッチ本人にとって、天国づくりは悪事ではなく人類の幸福のための行いでした。
根拠となる描写と発言
この記事で使った根拠を、原作の巻の順にまとめました。最後の行だけは、作者の発言です。
| 描写・発言 | 出典 | それが示すこと |
|---|---|---|
| 承太郎が2枚のDISCを奪われ仮死状態に | 第3巻/アニメ第6話 | ノートの中身を手に入れる手段 |
| DIOが天国へ行く方法を見つけたと語る回想 | 第6巻/アニメ第12話 | 計画の出どころはDIO |
| スポーツ・マックスがDIOの骨を蘇らせる | 第6〜7巻/アニメ第12・15話 | 1つ目の骨が動き出す |
| 骨のそばで囚人が植物になり、赤ちゃんが実る | 第9巻 第76〜77話/アニメ第19話 | 36人以上の魂を集める段階 |
| 14の言葉と2つ目の骨で融合 | 第11巻 第95話/アニメ第22話 | 2つ目の骨の役目 |
| ペルラの死とホワイトスネイクの発現 | 第15巻/アニメ第31話 | 手段を選ばない決意の出発点 |
| 第152話の雑誌掲載時の題「人類の幸福」 | 『週刊少年ジャンプ』2003年13号 | プッチが掲げた目的 |
| 一巡後の世界でエンポリオに倒される | 第17巻/アニメ第38話 | 天国は未完成のまま崩れた |
| 能力の発想は「無限のパラドックス」 | 『JOJOVELLER完全限定版 STANDS』(2013年) | 赤ちゃんのスタンドについての作者の発言 |
原作で確かめたいなら、第15巻(動機)、第9巻と第11巻(骨と赤ちゃん)、第17巻(結末)の順に開いてみてください。動機から結末まで、この記事の見出しと同じ流れで追えます。
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参考
- 『ジョジョの奇妙な冒険 第6部 ストーンオーシャン』第9巻・第11巻・第15巻・第17巻(集英社、2001〜2003年)
- 集英社 書誌『ジョジョの奇妙な冒険 第6部 ストーンオーシャン 17』
- アニメ「ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン」公式サイト STORY
- Wikipedia「ストーンオーシャン」
- Wikipedia「エンリコ・プッチ」

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