ジョジョリオンの結末|院長の正体は透龍・ゴー・ビヨンドで決着

『ジョジョリオン』の結末が動き出すのは、東方定助の新しい能力「ゴー・ビヨンド」が透龍に命中する場面です。ずっと立ちはだかっていた「明負悟院長」は実在の人物ではなく、透龍のスタンド「ワンダー・オブ・U」そのものでした。

読み終えて「院長は倒せないまま終わったのか」と迷う人が多いところです。この記事では、最終決戦の順番・定助の正体・誰が生き残ったのかを、根拠の巻数つきで追いかけます。

この記事は第8部『ジョジョリオン』の結末まで触れます(ネタバレを含みます)。

ジョジョリオンの結末までに押さえる5つの設定

結末までの流れを追うのに必要なのは、東方家の「病」・壁の目・ロカカカ・新ロカカカ・岩人間の5つです。あらすじを覚え直す必要はありません。

用語作中で起きること
東方家の「病」血を引く者が発病する奇病。記憶が薄れ、皮膚に折り紙のような線が入り、体が固まって死に至る
壁の目2011年3月11日の震災で隆起した壁。物と物を一緒に埋めると混ざり合う(第1巻)
ロカカカ食べると傷も病も治るが、等価交換で体のどこかが岩になって砕ける果実(第10巻)
新ロカカカ食べた人が他人に触れると、触れた相手が等価交換のダメージを引き受ける
岩人間皮膚が硬質化する人型の生命体。95%がスタンド使い(第11巻・第20巻・第25巻)

5つのうち結末に効いてくるのは、「等価交換」の向きの違いです。ロカカカは自分が代償を払い、新ロカカカは触れた相手に代償を押し付けます。

『ジョジョリオン』は全27巻・全110話。最終話の第110話が載ったのは、2021年8月19日に出た『ウルトラジャンプ』2021年9月特大号です。

第27巻が世に出たのは2021年9月17日で、サブタイトルは「全ての呪いが解けるとき」。第1話で「呪い」を解く物語だと示された話が、この巻で閉じます。

通し巻数で数えるなら第105〜131巻です。部ごとの数え直しはジョジョは何巻までかの一覧で確かめられます。

東方家の病をさかのぼると、たどり着くのは第7部です。ジョニィ・ジョースターが聖なる遺体で妻・理那の病を取り除いた場面から始まります。

その病は等価交換で息子のジョージへ移りました(『ジョジョリオン』第5巻)。ここから先の家系はジョニィ・ジョースターの最期と子孫の家系図にまとめました。

東方定助の正体は吉良吉影と空条仗世文の融合

定助は、吉良吉影と空条仗世文という2人の人間が融合して生まれた存在です。ヒトのキメラ体で、体には2人の細胞が混ざっています。

始まりは2011年8月19日。吉影と仗世文が田最環・八木山夜露の襲撃を受け、吉影が致命傷を負いました。

仗世文は吉影に新ロカカカ2個を食べさせます。等価交換は仗世文の肉体を代償にして働き、吉影の傷は癒えました。

そこへ余震による地形の変動が重なり、2人は壁の目の地中に埋まります。物と物を混ぜるその性質が働いて生まれたのが、東方定助でした。

定助の体に何が受け継がれているのかを、元の持ち主ごとに整理しました。

定助の特徴元は誰のものか
首筋の星型のアザ吉良吉影
星マークのついたしゃぼん玉と爆破吉影のスタンド、キラークイーン
星マークのないしゃぼん玉と吸い上げる力仗世文のスタンド、ソフト&ウェット
眼球と舌にある縦の繋ぎ目、すきっ歯2人の肉体が混ざった跡
「東方定助」という名前東方憲助が名付けた

ソフト&ウェットが2種類のしゃぼん玉を撃ち分けられるのは、2人分のスタンドを引き継いだからです。決着の鍵になるゴー・ビヨンドも、このしゃぼん玉の射撃から生まれます。

記憶がないのは、等価交換で支払われた代償です。定助は田最環との戦いを経て自分がかつて仗世文だった事実を知りますが、記憶は戻りません。

吉影の体は蘇生することなく、死体として発見されます。その肉体の一部を仗世文が受け継いだ姿が、東方定助です。

第4部『ダイヤモンドは砕けない』の吉良吉影とは同名の別人です。第8部の吉影は1982年生まれの船医で、ジョニィ・ジョースターと東方理那の末裔にあたります。

「明負悟院長」の正体はワンダー・オブ・U(本体は透龍)

読者の前に現れる「明負悟」院長は、生身の人間ではありません。本物の明負悟はすでに消され、戸籍を乗っ取られています。

TG大学病院の名誉院長として振る舞っていたのは、スタンド「ワンダー・オブ・U」そのものでした。このスタンドは遠隔操作型で、院長という1人の人物として動きます。

院長としての人格と意思を持つので、読者の目には89歳の老人にしか映りません。

本体は透龍。広瀬康穂の高校時代の元恋人で、TG大学病院でアルバイトをしている医学生です。

透龍の正体は岩人間で、スズメバチの巣に17年間寄生して育った子供でした。外見よりも実年齢は上で、1941年の「ラヂオ・ガガ事件」ではルーシーに目撃されています。

「院長を倒す」と「透龍を倒す」は、結局のところ同じ1人に手を下す話です。スタンドと本体が別人に見えるので、「院長は無敵のまま終わった」と受け取ってしまう人が出てきます。

第22巻のサブタイトルは「TG大学病院院長-明負悟」です。正体が読者に伏せられたまま、巻の題名として置かれています。

ワンダー・オブ・Uのできること・できないこと

厄災が降る条件は1つだけで、院長(透龍)に敵意か追跡の意図を持ったと認識されることです。このスタンドにできること・できないことを表にまとめました。

項目できる・できない
敵意や追跡の意図を持った相手を、事故や不幸の形の厄災に巻き込むできる
厄災を積み重ねて相手を死に追い込むできる
離れている相手にも幻覚の院長を見せるできる
スタンドが直接殴る・掴むできない
相手があきらめても厄災を続けるできない

「なぜ普通に殴り倒せないのか」の答えが、この表の下2行です。攻撃の手を持たないかわりに、向かってくる者へ不運が降り積もっていきます。

ワンダー・オブ・Uは、岩昆虫のドゥードゥードゥー・デ・ダーダーダーとオブラティ・オブラダを従えていました。標的の追跡や妨害は、この2匹が担います。

荒木飛呂彦は第27巻の著者コメントで、厄災についてこう述べています。

厄災は不条理で襲って来るけれども、実は「理」でがんじがらめに繋がっていて、万人のもとに平等にやって来る

最終決戦の流れを順に

決着までは大きく7段階あります。第23巻の病院から第27巻の東方邸まで、起きた順にたどります。

定助が院長のスタンド能力でダメージを負う(第23巻)

傷を癒やしたのは、入院中の吉良ホリーの力を借りて摂取したロカカカの成分薬6251です。代償として、顔の左目を覆う部分が岩になります。

回復後は、ホリーの助言をもとに院長を待ち受けて戦いました。

東方邸で常敏が厄災で死ぬ(第24巻)

東方常敏は新ロカカカを守り切ろうとして、父の憲助と対立します。その果てに院長のスタンドの術にはまり、厄災に巻き込まれて死亡しました。

病院での戦いと並行して、東方邸でも死者が出ています。

豆銑礼と虹村京が厄災に敗れる(第25〜26巻)

植物鑑定人の豆銑礼は、病院で院長と交戦します。自分のしゃぼん玉攻撃が厄災となって誤爆し、第25巻で致命傷を負いました。

同じ病院編で参戦した虹村京も敗北し、第26巻で死亡します。

豆銑は死の間際に、定助のしゃぼん玉が秘めていた回転の力を助言しました。この一言が次の段階の鍵になります。

第26巻の内容紹介にある「見えないヤツ」という言葉が、まさにこの助言です。

定助の左肩からゴー・ビヨンドが現れる(第26巻)

ゴー・ビヨンドは、ソフト&ウェットが指からしゃぼん玉を撃つときの余波です。定助の左肩から見えないしゃぼん玉が浮き出て、爆発的に回転しながら進みます。

この回転が厄災の条理を越えるので、途中で阻まれずに相手まで届きます。第26巻のサブタイトルも、そのまま「ゴー・ビヨンド」です。

弱点は狙い撃ちができないこと。肩から勝手に出るため、定助本人も狙いは「大体」だとしか言えません。

康穂との連携でゴー・ビヨンドが透龍に届く

このとき透龍は病院にいません。新ロカカカの鉢植えを奪い、東方邸から去ろうとしていました。

離れた場所にいる透龍にゴー・ビヨンドが届いたのは、広瀬康穂の助けがあったからです。康穂のスタンド、ペイズリー・パークがスマートフォンを介して、病院にいる定助の射撃を中継しました。

狙いを定められないはずのしゃぼん玉が、そこへ命中します。第27巻の内容紹介にある「院長の本体への攻撃に成功した」状態です。

透龍が新ロカカカで治そうとし、花都に止められる(第27巻)

新ロカカカの実は2個で、1個を康穂が、もう1個を透龍が摂取しています。瀕死の透龍は等価交換で傷を治そうと康穂へ向かいますが、迎撃されました。

そこへ現れたのが東方花都です。花都は透龍の動きを止め、新ロカカカの樹液を飲ませたつるぎを接触させます。

等価交換で石化病が透龍へ移り、これがとどめになりました。つるぎの病はこの場面で完治します。

透龍を倒した花都も、その代償に厄災を受けて命を落とします。家族に看取られての最期でした。

残った院長に定助がとどめを刺す(第27巻)

透龍が倒れたあとも、院長は消えずに残っていました。東方憲助はワンダー・オブ・Uに取り憑かれ、殺されかけます。

駆けつけた定助がゴー・ビヨンドを撃ち込み、院長はここで消滅しました。憲助は一命を取り留め、最終回で退院します。

つるぎと憲助の命は救われた一方、新ロカカカは使い切られました。吉良ホリーを治す手立ては、決着と引き換えに失われています。

ワンダー・オブ・Uの元ネタは「The Wonder of You」

この曲を歌っているのは、エルヴィス・プレスリー(Elvis Presley)です。透龍が作中で音楽プレイヤーとイヤホンで聴いている曲でもあります。

作詞作曲はベイカー・ナイト(Baker Knight)。1959年のレイ・ピーターソン(Ray Peterson)版は Billboard Hot 100 で25位でした。

プレスリー版は1970年2月19日、ラスベガスのインターナショナル・ホテルで録音されています。同年4月20日にシングルとして出て、全英シングルチャートで6週1位を記録しました。

第21巻のサブタイトルは「ザ・ワンダー・オブ・ユー」で、敵のスタンド名がそのまま巻の題名になっています。第8部の主要スタンドは、いずれも実在の曲名が下敷きです。

スタンド名元ネタの曲・歌手発表年
ワンダー・オブ・U「The Wonder of You」/エルヴィス・プレスリー1970年(プレスリー版)
ソフト&ウェット「Soft and Wet」/プリンス1978年
ペイズリー・パーク「Paisley Park」/プリンス1985年

定助と康穂のスタンドは、どちらもプリンス(Prince)の曲名から取られています。主役2人のスタンドが同じ歌手の曲でそろっているのも、第8部の仕掛けの1つです。

ジョジョリオンの結末でよくある疑問

読み終えたあとに残りやすい疑問を5つ選び、原作の記載で答えます。答えだけ知りたい人は、気になる見出しから飛んでください。

院長は倒せないまま終わったのか

倒しています。院長は透龍のスタンドなので、透龍が倒れた時点で本体が失われました。

それでも残っていた院長は、定助のゴー・ビヨンドを受けて消滅します(第27巻)。「院長だけが生き残った」という結末ではありません。

吉良ホリーの病は治ったのか

治っていません。吉良ホリーは吉良吉影と虹村京の母で、TG大学病院に入院したまま物語が終わります。

新ロカカカの実2個は康穂と透龍が摂取し、残った枝の樹液も花都がつるぎのために使い切りました。ホリーを治す材料は、決戦のあいだに全部なくなっています。

物語の出発点だった目的が果たされないまま完結するので、「自分が読み落としたのでは」と探しに来る人が多いところ。原作を読み返しても、ホリーが回復する場面はありません。

誰が死んで誰が生き残ったのか

最終決戦で死亡が描かれるのは5人です。主要な人物の結末は次のとおり(第27巻まで)。

人物結末
透龍死亡。花都が移した石化病がとどめ
豆銑礼死亡。病院で院長と交戦して敗れる
虹村京死亡。病院編で院長戦に参戦して敗れる
東方常敏死亡。厄災に巻き込まれる
東方花都死亡。透龍にとどめを刺した代償に厄災を受ける
東方つるぎ生存。病が完治する
東方憲助生存。定助に救出され、最終回で退院
東方常秀生存。右腕が萎んだままの後遺症
広瀬康穂生存。最終回まで定助とともに動く
吉良ホリー生存。病は治らず入院したまま

東方家は常敏と花都を失い、常秀の右腕とホリーの病も元に戻りません。全員が無事に助かる結末ではない、というのがこの表の答えです。

「呪い」とは何だったのか

第1話で、この物語は「呪い」を解く話だと示されます。最終巻のサブタイトルも「全ての呪いが解けるとき」でした。

作中で実際に解けたのは、東方つるぎにかかっていた東方家の病です。ジョニィから息子のジョージへ移って代々受け継がれた病が、つるぎの代で取り除かれました。

タイトルの「ジョジョリオン」は「ジョジョ」と「lion」の合成語です。「‥lion」は「祝福されるもの」「福音」「記念の印」を意味する古語だと、荒木飛呂彦が第2巻で解説しています。

定助は結局何者だと名乗ったのか

自分は仗世文でも吉影でもなく、壁の目で生まれた東方定助である、というのが定助の答えです。

最終回で、定助は病院に空条仗世文の母の姿を見かけます。自分は仗世文ではないという理由から、声をかけずに見送りました(第27巻)。

そのあとカフェで、東方家から憲助の退院祝いのケーキを家族代表として選ぶよう促されます。家族として迎えられたところで、物語が終わります。

根拠となる描写と作者の発言

結末の順番は、単行本の題名と集英社の内容紹介だけでも裏が取れます。

描写・発言出典それが示すこと
サブタイトル「TG大学病院院長-明負悟」第22巻正体を伏せたまま院長が中心に置かれた巻
眼球と舌にある縦の繋ぎ目、すきっ歯原作の定助の描写2人の肉体が混ざった体であること
サブタイトル「ゴー・ビヨンド」第26巻決着の鍵が新しい能力だったこと
「見えないヤツ」という豆銑の言葉第26巻の内容紹介(集英社)ゴー・ビヨンドに気づくのが第26巻であること
「院長の本体への攻撃に成功した定助」第27巻の内容紹介(集英社)本体である透龍への攻撃が先に成立したこと
瀕死の透龍の前に東方花都が現れる第27巻の内容紹介(集英社)とどめを刺すのが花都であること
サブタイトル「全ての呪いが解けるとき」第27巻第1話の「呪い」に対応する題
厄災は「万人のもとに平等にやって来る」第27巻の著者コメント厄災が避けようのない仕組みだという説明
最終話の掲載『ウルトラジャンプ』2021年9月特大号全110話で完結した時期

読み返すときは、第26巻から第27巻を続けて開くと決着の順番が追えます。透龍が先、院長が後、という並びは動きません。

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参考

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