映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(2023年5月26日公開)の原作は、荒木飛呂彦の同じ題名の漫画です。123ページのフルカラー作品。『岸辺露伴は動かない』の単行本には入っておらず、単独の1冊として出ています。
「『動かない』の何巻?」と探して迷いやすいところです。この記事では、原作の本の選び方、キャストの対応、映画で足された人物と場面、配信先までを表にまとめました。
配信先は2026年10月26日時点の情報です。「映画と原作の違い」の節だけは、両方の結末に触れます。
岸辺露伴 ルーヴルへ行くの映画と原作の早見表
映画はドラマ『岸辺露伴は動かない』の劇場版で、原作は荒木飛呂彦が2009年に描き下ろした漫画です。どちらも主人公は漫画家の岸辺露伴で、「この世で最も黒い絵」を追ってルーヴル美術館へ向かいます。
映画と原作漫画の基本を、項目ごとに並べるとこうなります。
| 項目 | 映画 | 原作漫画 |
|---|---|---|
| 公開・制作 | 2023年5月26日公開 | 2009年に描き下ろし |
| 長さ | 119分 | 123ページ(フルカラー) |
| 作り手 | 監督 渡辺一貴/脚本 小林靖子 | 荒木飛呂彦 |
| 成り立ち | ドラマ『岸辺露伴は動かない』の劇場版 | ルーヴル美術館のBD(バンド・デシネ)プロジェクトの第5弾 |
| 露伴 | 高橋一生 | 27歳の人気漫画家 |
| 見る・読む方法 | 配信・テレビ放送・Blu-ray・DVD | 愛蔵版(2011年)/ジャンプコミックス版(2023年) |
原作は1冊で読み切れる長さです。映画はドラマのキャストとスタッフが続投していて、露伴の担当編集者・泉京香も登場します。
原作は、ルーヴル美術館のBDプロジェクトのために描かれました。ルーヴルとフュチュロポリス社が、2005年から続けてきた企画です。
冒頭ページの複製原稿は、2009年1月22日〜4月13日にルーヴルの企画展で展示されました。日本の漫画家の漫画作品がルーヴルに並んだのは、これが初めてです。
描き始めたときは60ページほどの予定でした。デビュー前の露伴の話などを足して、123ページに増えています。
主人公に露伴を選んだ理由は、荒木飛呂彦が『ウルトラジャンプ』掲載時のインタビューで語っています。新しい人物を描き起こすと、紹介だけで何十ページも使ってしまうからです。
作者がよく分かっている露伴なら、露伴を知らない読者にもすっと示せる、とも説明しています。
露伴はもともと、『ジョジョの奇妙な冒険』第4部『ダイヤモンドは砕けない』に出てくる漫画家。本編でのプロフィールと結末は、岸辺露伴の記事にまとめています。
原作漫画はどの本に入っている?(愛蔵版とジャンプコミックス版)
原作は『岸辺露伴は動かない』の1〜3巻には入っていません。探すのは、題名がそのまま『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』の単独の本です。
ややこしいのは、同じ題名の紙の本が2つあることです。2011年の愛蔵版と、2023年のジャンプコミックス版。
2つの版の発売日と形を表にしました。価格は本体価格(税抜き)です。
| 版 | 発売日 | 形と価格 |
|---|---|---|
| UJ愛蔵版 | 2011年5月27日 | 26×18.6センチ・フルカラー123ページ/本体2,667円 |
| ジャンプコミックス版 | 2023年4月4日 | 本体850円 |
書店や図書館で探すときは、ISBNで指定すると版を取り違えません。愛蔵版は978-4-08-782379-0、ジャンプコミックス版は978-4-08-883524-2です。
愛蔵版の巻末には、BDプロジェクトの解説とフランス取材記が入っています。題は「ARAKI HIROHIKO Meets MUSÉE DU LOUVRE」。
日本語版が最初に載ったのは、『ウルトラジャンプ』2010年4月号〜6月号です。このときはモノクロで、3回に分けての掲載でした。
日本語版を本来のフルカラーで読めるようになったのは、2011年5月27日発売の愛蔵版から。フランス語版『Rohan au Louvre』は、それより早い2010年4月8日に一般発売されています。
『動かない』1〜3巻にどの話が入っているかは、岸辺露伴の実写ドラマの見る順番と原作の表で確かめられます。
映画のノベライズ(小説)
映画を小説にした本は、集英社オレンジ文庫の『映画ノベライズ 岸辺露伴 ルーヴルへ行く』です。著者は北國ばらっどで、映画の公開と同じ2023年5月26日に発売されました。
小説になっているのは、原作漫画ではなく映画の物語のほう。露伴の小説短編集もふくめた一覧は、ジョジョの小説18作の一覧で見られます。
映画のキャストと原作の人物の対応
主演の高橋一生は、露伴と江戸時代の絵師・山村仁左右衛門の二役を演じています。下の表は、映画の役が原作漫画でどう出てくるかの対応です(結末と正体には触れていません)。
| 役 | 俳優 | 原作では |
|---|---|---|
| 岸辺露伴 | 高橋一生 | 主人公。27歳の人気漫画家 |
| 山村仁左右衛門 | 高橋一生(二役) | 黒い絵の作者として言い伝えで語られる |
| 岸辺露伴(青年期) | 長尾謙杜 | デビュー前、17歳の露伴 |
| 泉京香 | 飯豊まりえ | 出てこない |
| 奈々瀬 | 木村文乃 | 「藤倉奈々瀬」の名前で登場 |
| 辰巳隆之介 | 安藤政信 | いない(映画オリジナル) |
| エマ・野口 | 美波 | 「野口」の名前で登場(出版部の職員で通訳) |
| 猷(露伴の祖母) | 白石加代子 | 「露伴の祖母」として登場 |
| モリス・ルグラン | Arnaud Le Gall | いない(映画で足された人物) |
上の表の中で原作にいない人物は、泉京香・辰巳隆之介・モリス・ルグランの3人です。映画から入った人は、原作に京香が出てこないと知っておくと戸惑いません。
露伴と京香のコンビは、ドラマから引き継いだ要素です。漫画の京香は、『ルーヴルへ行く』ではなく『動かない』の「富豪村」などに編集者として出てきます。
原作に出てくる東方仗助・広瀬康一・虹村億泰は、映画のキャスト一覧に名前がありません。原作の3人は第4部と同じ学ラン姿で、仗助は後ろ姿だけの登場です。
監督・脚本などのスタッフと興行収入
監督の渡辺一貴と脚本の小林靖子は、ドラマから続けての担当です。主なスタッフは次のとおり。
- 監督:渡辺一貴
- 脚本:小林靖子
- 音楽:菊地成孔/新音楽制作工房
- 人物デザイン監修・衣装デザイン:柘植伊佐夫
- 配給:アスミック・エース
興行収入は12.5億円でした。NHKが製作したドラマを映画にした作品で、10億円を超えたのは本作が初めてです。
映画はどこで見られる? 配信・テレビ放送・Blu-ray・DVD(2026年10月26日時点)
映画.comの動画配信の情報では、見放題はAmazon Prime VideoとU-NEXTです。手元に残したい人向けには、Blu-rayとDVDも出ています。
劇場公開から今までの、公式に見られる主な方法を日付順にまとめました。
| 方法 | 内容 | 日付 |
|---|---|---|
| 劇場公開 | 全国272スクリーンで公開 | 2023年5月26日 |
| 上映終了 | 国内の上映終了を公式Xで発表 | 2023年9月6日 |
| Prime Video | 見放題の配信を開始 | 2023年9月22日 |
| テレビ放送 | NHK総合で地上波初放送 | 2024年5月6日 15:55〜17:54 |
| Blu-ray・DVD | 豪華版と通常版を発売 | 2024年7月26日 |
| テレビ放送 | NHK総合で放送 | 2025年1月5日 0:10〜2:09 |
| 見放題 | Amazon Prime Video/U-NEXT | 2026年10月26日時点(映画.com) |
Prime Videoの配信は、配給のアスミック・エースが2023年8月24日に告知しました。告知では「見放題独占配信」でしたが、映画.comの配信情報ではU-NEXTも見放題の欄に載っています。
見放題のサービスは入れ替わることがあります。見る前に、各サービスの作品ページで配信中かを確かめてください。
地上波より前に、NHK BSプレミアム4Kで2024年4月27日に先行放送もありました。2025年1月5日のNHK総合の放送は、土曜の深夜の枠です。
Blu-rayとDVDは、NHKエンタープライズから豪華版(初回生産限定)と通常版の2種類が出ています。価格は税込みで、豪華版が12,980円、通常版が5,500円。
アニメ本編の配信先は、ジョジョのアニメ配信の早見表にまとめています。
映画と原作の違い(ネタバレあり)
ここから先は、原作と映画の結末に触れます。大きな違いは、映画が露伴の年齢を上げ、オークションの導入と江戸時代の長い過去編を足したことです。
主な違いを、物語の順に表にしました。
| 項目 | 原作漫画 | 映画 |
|---|---|---|
| 露伴の年齢 | 27歳。10年前の17歳の夏を回想 | 明確な年齢はなし。30代後半の設定 |
| 黒い絵を思い出すきっかけ | 億泰らとの世間話 | オークションで落札した黒い絵 |
| 青年期の露伴 | 17歳。デビュー前で投稿用の原稿を描く | 漫画家デビューしたばかり |
| Z-13倉庫に同行する人 | 野口、ゴーシェ、消防士2名 | 泉京香、エマ・野口、辰巳隆之介、消防士 |
| 消防士 | 調査に同行し、怪異で死ぬ | 辰巳らと組む、贋作すりかえの犯罪グループ |
| 仁左右衛門と奈々瀬の過去 | 言い伝えと露伴の調べで語られる | 長い過去編で悲恋として描かれる |
| 奈々瀬の正体 | 露伴の推測(仁左右衛門の妻で、旧姓は岸辺) | 奈々瀬の霊にヘブンズ・ドアーを使って知る |
| 黒い絵の最後 | 「焼却処分された」との報告。真実は不明 | 倉庫内の火災で焼失 |
| 色 | 日本の過去はセピア、パリはピンク、地下はブルー | 過去の場面も白黒やセピアにしない |
原作が推測や報告のまま終える部分を、映画は場面としてはっきり描いています。読み比べるときは、奈々瀬の正体と黒い絵の最後を見ると違いがよく分かります。
違いが生まれた理由
過去編と犯罪グループの設定は、原作者の荒木飛呂彦の要望から生まれました。脚本の小林靖子は、仁左右衛門と奈々瀬を悲恋にし、消防士たちを悪者にしてほしいと頼まれました。
これを受けて、映画ではZ-13倉庫の場面のあとに、新しく書き起こした長い過去編が入ります。
露伴の年齢を上げたことも、物語の入り口を変えました。年上の露伴が奈々瀬を思い出しても不自然にならないよう、モリス・ルグランと黒い絵の設定が足されています。
映画の露伴は、漫画のために美術を調べてオークションに潜入します。そこで事件に巻き込まれ、少しずつ過去へつながっていく流れです。
辰巳隆之介は、原作のゴーシェの代わりに作られた人物です。ゴーシェを悪人にするとセリフがフランス語ばかりになるため、映画オリジナルの人物に置き換えました。
奈々瀬の名字が映画で消えたのは、原作で偽名を名乗った理由がはっきりしないから。役名は「奈々瀬」だけになっています。
映画で明かされる泉京香の「父が5歳のころに亡くなった」という設定も、ドラマから来ています。ドラマ第1話「富豪村」に出てくる、助監督が作った京香の本に書かれていたものです。
そのほかの違い
能力の呼び名にも違いがあります。原作の「スタンド」が、映画とドラマでは「ギフト」。
原作の露伴は、第4部とも設定が少しずれています。第4部では16歳でデビューし、20歳で虹村形兆の矢に射抜かれてスタンドが発現しました。
『ルーヴルへ行く』の露伴は、17歳でまだデビュー前なのに、すでにスタンド使いです。人を本にする能力の仕組みは、ヘブンズ・ドアーの能力にまとめています。
映画のロケ地(撮影場所)
映画の撮影期間は2022年9月から2023年3月で、場所は日本とパリです。ルーヴル美術館の館内は、閉館後から翌朝にかけて撮影されました。
日本映画がルーヴル美術館で撮影されたのは、『万能鑑定士Q モナ・リザの瞳』以来2作目です。
場面ごとの撮影地は次のとおりです。
| 場面 | 撮影地 |
|---|---|
| オークション会場 | ホテルニューグランド(横浜) |
| 露伴の自宅 | 葉山加地邸(ドラマと同じ) |
| 青年期の祖母の下宿 | 向瀧(会津若松市の旅館) |
| 露伴と京香が2階建てバスに乗る場面 | エトワール凱旋門・シャンゼリゼ通り |
| ルーヴル美術館文化メディエーション部のオフィス | ヴィクトル・ユゴーの弁護士事務所 |
| ルーヴル美術館の館内 | ルーヴル美術館 |
| Z-13倉庫へ続く地下通路 | 大森ベルポート地下3階・能忍寺の廃トンネル |
| Z-13倉庫 | 大谷石採石場跡 |
| 江戸時代の場面 | 霧幻峡・大内宿 |
ルーヴルの地下という設定のZ-13倉庫と地下通路も、撮影は日本国内です。パリが舞台の場面でも、すべてを現地で撮ったわけではありません。
原作のZ-13倉庫は、セーヌ川の氾濫に備えて所蔵品が移され、使われなくなった地下倉庫という設定です。架空の倉庫ですが、同じ理由で使われていない実在の倉庫がモデルになっています。
間違えやすいところ
映画と原作を行き来するときに取り違えやすいのは、次の5つです。
- 原作は『岸辺露伴は動かない』の1〜3巻のどこにも入っていない。単独の『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』を探す
- 1作目の映画の題名に「動かない」はつかない。つくのは2作目の『岸辺露伴は動かない 懺悔室』(2025年5月23日公開)。原作は『動かない』第1巻の「懺悔室」
- 『ルーヴルへ行く』はアニメになっていない。OVAアニメ『岸辺露伴は動かない』の全4話は「富豪村」「六壁坂」「懺悔室」「ザ・ラン」
- 映画はドラマの続き。高橋一生は映画化の発表(2023年1月5日)で「シリーズ九話目とも言える物語」とコメントした。これまでの露伴を知らない人も楽しめる、とも述べている
- 作品名と書誌の表記は「ルーヴル」。「ルーブル」で見つからないときは、こちらの表記で探す
題名が似ていても、映画2本の原作は別々の本に入っています。ドラマから順に追いたい人は、岸辺露伴の実写ドラマの見る順番と原作の早見表を使ってみてください。


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