ジョジョ7部の時系列は一巡後かパラレルか|原作と作者の発言で整理

第7部『スティール・ボール・ラン』以降が第6部の一巡後の世界かどうかは、原作の本編では明言されていません。作者の荒木飛呂彦は「パラレルワールドに突入」と書き、第6部終盤の出来事が影響した新世界だとも説明しています。

『ジョジョの奇妙な冒険』の時系列は第6部までが一続きで、第7部からはそこと切り離して並べられます。調べるほどページごとに答えが割れていて、迷いますよね。

この記事では原作の描写と作者の発言を分けて、どちらが何をどこまで言っているのかを巻数と媒体つきで整理しました。

この記事は第6部と第7部の結末、第8部で語られるジョニィのその後に触れます(ネタバレを含みます)。第9部『The JOJOLands』は既刊第8巻までの範囲にとどめました。

一巡後の世界とパラレルワールドは何が違うのか

「一巡後の世界」「パラレルワールド」「並行世界」は、それぞれ指しているものが違います。どの言葉の話をしているかで答えが変わるので、先に区別しておきます。

3つの言葉の出どころと中身を、表にまとめました。

言葉どこで使われる言葉か指しているもの
一巡後の世界第6部の作中の出来事宇宙が一巡した先の世界(第6部第17巻)
パラレルワールド作者が第7部・第8部の位置づけを語った言葉第1〜6部とは別の世界
並行世界(D4C)第7部の作中のスタンド能力大統領が行き来する別の世界(第7部第17〜20巻)

注意したいのは3つ目で、これは第7部に出てくるスタンドの能力です。世界の一巡とは別の仕組みなので、分けておくと話が通ります。

並行世界を行き来するD4Cの能力は、ヴァレンタイン大統領のスタンドです。正式名はダーティー・ディーズ・ダン・ダート・チープ。あくまで作中の能力で、部と部の関係を説明する言葉ではありません。

残る2つのうち、「一巡後の世界」は第6部の作中の出来事、「パラレルワールド」は作品の外で作者が使った言葉です。同じものとして扱うと、答えが食い違います。

前提となる設定(第1〜6部の時系列)

先に確かめたいのは4点です。まず、第6部の一巡は完成していません。

一巡とは、加速で宇宙を終わらせ、次の宇宙に同じ歴史をたどらせることです(第6部第17巻)。完成するのは、加速を始めた2012年3月21日まで戻ったときです。

加速が始まったのは2012年3月21日で、止まったのは新しい宇宙の2011年11月。開始の時点まで戻る前にプッチが倒れ、円環が閉じないまま「天国」は崩れました(第6部第17巻)。

2つ目は、一巡が止まった後に起きることです。プッチが倒れた後、世界は別の世界として再構築されます。エンポリオが出会うのは、徐倫によく似たアイリンでした(第6部第17巻第158話)。

ここで分けておきたいのが、世界の違いです。加速が止まった時点の世界と、プッチが倒れた後の世界は同じではありません(第6部第17巻)。

3つ目に、第7部の舞台を押さえます。レースは1890年9月25日にサンディエゴを出発し、1891年1月にニューヨークで終わります。

第1部と同じ時代のアメリカですが、世界は別物です。別のジョースター家があり、別のディオがいます。

4つ目は時系列の並べ方です。第1部の1889年から第6部の2012年までは、一続きの流れになります。

第7部の1890年と第8部の2011年は、その流れの中には置かれません。年だけ見ると第1部や第6部と重なります。ここが分かりにくいところです。

第7部以降は一巡後の世界なのか

原作の本編と作者の発言では、答え方が違います。本編は第6部の一巡に触れず、作者は「新世界」と「パラレルワールド」の両方を使いました。

片方だけを取り出すと、答えが正反対に見えます。まずは原作の描写から確かめます。

原作の描写が示すこと

第7部の本編に、第6部の一巡を指す場面は描かれていません。出てくるのは、第1部と同じ名前を持つ別の人物たちです。

主人公は別のジョースター家に生まれたジョニィ・ジョースターで、第1部のジョナサンとは別人です。ディエゴ・ブランドーも、第1部のディオとは別のディオとして描かれます。

レースの出資者には「スピードワゴン石油株式会社」の名前があります。第1〜6部のスピードワゴン財団と同じ名前を持つ、別の企業です。

スタンドの説明も、第7部の中でやり直されています。マウンテン・ティムがジャイロとジョニィにスタンドを教えるのは、第2ステージにあたる第3〜6巻です。

名前や設定は重なるのに、第1〜6部の出来事が起きたと分かる描写は見当たりません。原作だけを根拠にすると、「一巡後かどうか」は答えが出ないままです。

作者の発言が示すこと

荒木飛呂彦は第7部の位置づけを何度か語っていて、言い方は1つずつ違います。ここでは3つの発言を取り上げます。

1つ目は『週刊少年ジャンプ』2004年8号の巻末コメントです。「ジョジョの奇妙な冒険はパラレルワールドに突入」という一文が載りました。

同じコメントで、主人公がジョジョではなくなったので題名を『スティール・ボール・ラン』にした、とも説明しています。

2つ目は単行本第1巻と『青マルジャンプ』(2004年)のロングインタビューです。ここで作者は、この作品が実質的に『ジョジョの奇妙な冒険』第7部だと公言しました。

同じ場で「作家の創作の姿勢として、過去の作品を完全に葬り去ることはよくない」とも語っています。第7部は第6部終盤の出来事が影響した新世界だと、読者に明言しました。

位置づけは連載中に動いています。『ウルトラジャンプ』へ移った第5巻からは、カバーを外すと「ジョジョPart7」の表記が現れます。

誌面に載るときのサブタイトルにも、『ジョジョの奇妙な冒険 Part7』と明記されるようになりました。

3つ目は、過去の作品を思わせる人物や設定についての説明です。作者は「かつての登場人物の先祖であるか、あるいはパラレルワールドの存在と考えて欲しい」としています。

3つの発言は「新世界」「パラレルワールド」「先祖と考えてもよい」の3方向に散らばっています。作者の言葉でも、読み方はひとつに絞られていません。

部ごとのつながり(第7部・第8部・第9部と岸辺露伴)

第7部から第9部までは、原作の中で少しずつ結びついています。舞台と、前の部とのつながりを一覧にしました(2026年9月時点)。

作品舞台前の部とのつながり
第7部『スティール・ボール・ラン』1890〜1891年のアメリカ第1〜6部とつながる描写はない
第8部『ジョジョリオン』2011年の杜王町第7部の未来の出来事
第9部『The JOJOLands』現代のハワイ(オアフ島)第8部の人物と血縁でつながる
『岸辺露伴は動かない』短編ごとに異なる作者が「隣り合わせの世界」と説明

切れているのは第6部と第7部の間だけで、第7部から先は血のつながりで結ばれています。

第8部『ジョジョリオン』は、第7部の未来の出来事として描かれます。舞台はレースから120年後の杜王町です。

その杜王町には、2011年3月11日の大震災で「壁の目」という土地が現れました。第4部と同じ地名ですが、作中で描かれるのは別の町です。

作中には第7部のジョニィや聖なる遺体への言及もあります。ただし一部は「ファンタジーとして伝承されてきたお話」としてぼかされています。

ジョニィのその後が語られるのは『ジョジョリオン』第5巻です。1901年11月に来日し、11日の夕刻に事故に遭って翌日未明に亡くなったと新聞で報じられます。

第7部を読み終えて「ジョニィはどうなったのか」が気になった人は、この巻を開いてみてください。

第9部『The JOJOLands』の主人公は、ジョディオ・ジョースターです。第8部の吉良吉影・虹村京とはいとこ同士で、二人の母の吉良・ホリー・ジョースターが伯母にあたります。

第7部のジョニィ・ジョースターから見ると、ジョディオは玄孫です。第8部のジョセフ・ジョースターの孫でもあります。

巻数は第7部が全24巻・全95話、第8部が全27巻・全110話。第9部は既刊8巻で、第8巻は2026年3月19日に出ました(2026年9月時点)。

通し巻数と部ごとの巻数は、第6部から先で混ざりやすくなります。第6部から巻数が1巻に戻る数え方は、部ごとの一覧で確かめられます。

よくある疑問

一巡は失敗したのに、なぜ第7部が一巡後と呼ばれるのか

「一巡後」という呼び方は、原作が第7部に使った言葉ではありません。第6部の一巡は完成しないまま止まっています(第6部第17巻)。

プッチが倒れたのは、加速を始めた2012年3月21日まで戻る前の2011年11月です。円環が閉じていないので、その先の世界は一巡が完成した世界とも違います。

第6部で描かれるのは、加速が止まった時点の世界と、プッチが倒れた後に再構築された世界の2つです。第7部の舞台は、そのどちらの続きとしても描かれていません。

第7部を「一巡後」と呼ぶのは、作中の言葉ではなく読者側の言い方です。

第1〜6部の出来事は第7部の世界にもあったのか

第7部の世界で第1〜6部の出来事が起きたと分かる描写は、原作にありません。ジョースター家もディオも、名前だけが同じ別の存在として描かれます。

第1部のディオとディエゴ・ブランドーの違いを見ると、生まれも育ちも重なりません。共通しているのは名前だけ、と覚えておくと混ざりません。

年代が近いことも、混同のもとになっています。第7部の1890年は、第1部の1889〜1890年とちょうど重なります。

一致するのは年だけで、同じ世界の出来事としては描かれていません。

承太郎やジョルノ、仗助は第7部以降に出てくるのか

3人とも第7部以降には出てきません。空条承太郎は一巡の前に死亡していて、一巡後の世界にも戻っていません(第6部第17巻)。

一巡後の世界では、死んだ人の枠に別の人物が納まります(第6部第17巻)。承太郎に当たる場所にいるのも、本人ではなく似た別人です。

ジョルノ・ジョバァーナと東方仗助は第6部に登場しないので、一巡後の姿そのものが描かれていません。ジョルノについては、荒木飛呂彦が第6部第13巻で「作中に現れなかっただけ」と補足しています。

第8部には、ジョセフ・ジョースターという名前の人物が登場します。第2部・第3部のジョセフとは別の世界の人物で、第9部のジョディオの祖父です。

第8部・第9部のジョースター家は、第7部のジョニィにさかのぼる家系です。

岸辺露伴が第9部に出てくるのは第4部と同じ人物だからか

同一人物かどうかは、原作で明かされていません。第9部『The JOJOLands』には、日本から来た有名漫画家「岸辺露伴」が登場します。

『ピンクダークの少年』を連載中で、ペン先型のピアスもそのまま。スタンドのヘブンズ・ドアーも、相手を本に変えて記憶を読む能力のままです。

別荘の金庫に「溶岩」を保管していて、それをジョディオに託します。第4部の露伴との関係は、原作では語られていません。

作者が「隣り合わせの世界」と説明したのは『岸辺露伴は動かない』についてです(『JOJOVELLER』2013年)。同じ本には、第8部について「Part4とPart8の杜王町は別の町」という説明もあります。

第4部の人物と同じ名前が出ても、同じ町の話とは限りません。

第9部の露伴がどの世界の人物かを作者が説明した資料は、見当たりません。

第9部『The JOJOLands』は第7部・第8部と同じ世界なのか

第7部・第8部と地続きの世界として描かれています。根拠は血縁で、ジョディオが第8部の人物のいとこであり、ジョニィの玄孫だからです。

第9部の舞台はハワイのオアフ島に移ります。第8部の杜王町とは場所が離れていますが、家系のつながりは切れていません。

第9部と第6部の一巡の関係は、原作でも公式の資料でも確認できません。第9部でつながりが示されているのは、第7部と第8部までです。

単行本の既刊は8巻で、連載は『ウルトラジャンプ』2023年3月号から続いています(2026年9月時点)。第9巻の発売日は2026年9月17日です。

根拠となる描写と発言

この記事で使った描写と発言を、出典つきで1つの表にしました。上の3行が原作の描写、下の3行が作者の発言です。

描写・発言出典それが示すこと
一巡が完成せず、世界が再構築される第6部第17巻・第158話第7部の前にあるのは一巡後とも別の世界
舞台は1890年のアメリカ。別のジョースター家と別のディオ第7部第1〜2巻第1部と同時代の別の世界
ジョニィの死と東方家とのつながりが語られる『ジョジョリオン』第5巻第7部と第8部は地続き
「パラレルワールドに突入」『週刊少年ジャンプ』2004年8号 巻末コメント第7部は第1〜6部とは別の世界
第6部終盤の出来事が影響した新世界と明言『青マルジャンプ』2004年 ロングインタビュー第6部とのつながりは認めている
第8部は「一種のパラレルワールド」『JOJOVELLER』2013年第4部と第8部は別の世界

原作は「一巡後かどうか」に答えず、作者の発言も「新世界」で止まっています。この分担を覚えておくと、答えが割れている理由が見えてきます。

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参考

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