エピタフとキング・クリムゾン|十数秒を消す能力と未来予知

キング・クリムゾンは、第5部『黄金の風』のボス、ディアボロのスタンドです。十数秒の時間を消し飛ばし、その中を自分だけが動ける能力で、頭に付いたもう一つの顔「エピタフ」が十数秒先の未来を見せます。

「エピタフは別のスタンドなのか」「消し飛ばしている間、ディアボロは殴れるのか」は、読んでいて一番混乱しやすいところ。できること・できないことを原作の描写ごとに分けて、巻数とアニメの話数つきでまとめました。

この記事は第5部の結末に触れます(ネタバレを含みます)。

キング・クリムゾンの基本情報

本体はギャング組織パッショーネのボス、ディアボロ。第5部『黄金の風』に出てくる近距離型のスタンドです。

まずは一覧で確かめてください。

項目内容
本体ディアボロ(ヴィネガー・ドッピオと同じ体)
登場する部第5部『黄金の風』(単行本47〜63巻)
原作で能力が明かされる巻第56巻『キング・クリムゾンの謎 その1〜6』
アニメで能力が明かされる話第5部第21話「キング・クリムゾンの謎」
能力の種類近距離型(公式ファンブックの分類は「A・ab型」)
ステータス破壊力A/スピードA/射程距離E/持続力E
精密動作性・成長性記載なし(表記は「?」のまま)
日本語表記深紅の王(補助能力は墓碑銘)
元ネタイギリスのバンド、キング・クリムゾン

この数値の出どころは、第56巻108ページのスタンド解説です。公式ファンブックの『JOJOVELLER』にも載っています。

「A・ab型」の A は射程距離が近いこと、ab は戦闘と戦闘以外の両方に使えることを指します。

目を引くのは、射程距離と持続力がどちらもEという低さ。手が届くのは体のまわりだけなので、ディアボロは近づかないと相手を殴れません。

キング・クリムゾンの能力|時飛ばしで何が起きるのか

発動すると、十数秒の時間がまるごと消えます。その区間を意識を持ったまま動けるのは、ディアボロだけです。

周りにいる人は意識だけを失い、体のほうは行動を続けます。気がついたときには、やろうとしていたことがもう終わっています。

分かりやすいのが、ナランチャのチョコの場面です。食べた覚えがないのに口のまわりにチョコが付いていて、消えた時間の中で自分が食べたと分かります(第56巻)。

同じ第56巻で、ディアボロ自身はこの現象をこう言い表しました。「空の雲は千切れ飛んだことに気付かず、消えた炎は消えた瞬間を炎自身さえ認識しない」。

時間の向きは一方通行です。未来へ先回りはできても、過去へ戻って失敗をやり直す使い方はできません。

時飛ばしの仕組みが順を追って明かされるのは、第56巻『キング・クリムゾンの謎 その1〜6』です。ブチャラティとの戦いの中で、能力の正体が少しずつ分かっていきます。

時を止めるザ・ワールド、時を戻すバイツァ・ダストとの違いは、時を消す・止める・戻すの違いで表にしています。

エピタフ(墓碑銘)が見せる未来

キング・クリムゾンの頭部には、額にもう一つの顔が付いています。これがエピタフで、十数秒先の未来の映像を見せます。

映るのは、自分の能力がこの先に起こす動き。的中率は100%です。

視点は1つに固定されません。ディアボロの目から見た映像にも、自分を上から見下ろした映像にも変えられます。

ここで効いてくるのが時飛ばしです。予知で見えた攻撃を、その十数秒ごと消してしまえば、100%当たるはずの未来も起きません。

予知は危険を知るための目、時飛ばしはその危険を外すための手段です。役割が別だと押さえておくと、第56巻の戦いの流れが追いやすくなります。

エピタフは別のスタンドなのか

別のスタンドではありません。キング・クリムゾンという1つのスタンドが持つ、能力の一部です。

根拠は、TVアニメ『黄金の風』公式サイトの STORY にあります。第27話「キング・クリムゾンvsメタリカ」のあらすじの言い方です。

ドッピオはボスからの電話により与えられた「キング・クリムゾン」の能力の一部「エピタフ」を使い応戦。

名前が2つあるうえ、ドッピオが予知の側だけを使うので、別物に見えてしまいます。1つのスタンドに主能力と補助能力の2つがある、と整理すると混乱しません。

ドッピオが使えるのはどこまでか

ドッピオが使えるのは、エピタフの未来予知と、キング・クリムゾンの両腕までです。時を消す力は使えません。

その差が出るのが、暗殺者リゾット・ネエロとの戦いです。原作は第58〜59巻、アニメは第5部第27話「キング・クリムゾンvsメタリカ」にあたります。

ドッピオが姿を見せるのは、その前の第26話「ほんの少し昔の物語 〜ぼくの名はドッピオ〜」からです。

できること・できないこと

一番の強みは、消し飛ばした時間の中では攻撃が当たらないこと。弱点は距離で、離れた相手には手が届きません。

確かめられる描写だけを、判定と根拠の形にまとめました。

項目判定根拠
十数秒の時間を消し飛ばすできる第56巻/アニメ第5部第21話
消えた時間の中を動くできる第56巻/アニメ第5部第21話
過去へ戻るできない未来へ先回りするだけ
消えた時間の中で攻撃を受ける受けないあらゆる攻撃がすり抜ける(第5部)
消えた時間の中で相手に手を出す両方の描写があるトリッシュの拉致・ナランチャの殺害(第5部)
十数秒より先の未来を見るできないエピタフの範囲は十数秒先まで
エピタフで見た未来を変えるできるその時間ごと消せば例外になる
ドッピオが時を消すできない予知と両腕まで(アニメ第5部第27話)
遠くの相手に届く届きにくい射程距離E・近距離型(第56巻)
ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムに通じる通じない第63巻/アニメ第5部第38話

迷いやすいのは、表の5行目「消えた時間の中で相手に手を出す」です。触れられない描写と、消えた時間の中で相手を殺している描写が、どちらも原作にあります。

どちらかが誤りなのではなく、場面ごとに描き方が違います。1つの説明で言い切ろうとしなければ引っかかりません。

元ネタはイギリスのバンド「キング・クリムゾン」

名前の元になったのは、ロンドン出身のプログレッシブ・ロックバンド、キング・クリムゾン(King Crimson)です。1968年12月に結成されました。

デビュー作は1969年10月10日発表の『クリムゾン・キングの宮殿』です。原題は In the Court of the Crimson King。そのA面3曲目が「エピタフ(墓碑銘)」(Epitaph、8分49秒)です。

スタンド名はバンド名から、補助能力の名前は同じバンドの曲名から取られています。「エピタフ」の意味を調べていた人には、英語の epitaph = 墓碑銘が答えになります。

原作の日本語表記も、そのまま「墓碑銘」。スタンド名のほうには「深紅の王」が当てられています。

デザインについては、作者の発言が『JOJOVELLER』(集英社、2013年)に載っています。荒木飛呂彦が挙げたのは、映画『トータル・リコール』に出てくる人物でした。

その人物は、腹にもう一つの顔を持つ二重人格者です。額の顔と2つの人格という組み合わせが、キング・クリムゾンとディアボロにも重なります。

登場する巻とアニメの話数

キング・クリムゾンの力が最初に働くのは第55巻、トリッシュがエレベーターから消える場面です。ただし第55巻で描かれるのは消えたという結果だけで、スタンドが姿を見せて戦うのは第56巻からです。

決着の第63巻までの主な出来事を、原作の巻とアニメの話に対応させました。

出来事原作の巻アニメの話(第5部)
トリッシュがエレベーターから消える第55巻第20話「ボスからの最終指令」
ブチャラティ戦で能力が明かされる第56巻第21話「キング・クリムゾンの謎」
ドッピオがエピタフで戦う(リゾット戦)第58〜59巻第27話「キング・クリムゾンvsメタリカ」
ディアボロ本人が姿を見せる第61巻第33話「そいつの名はディアボロ」
ゴールド・E・レクイエムに敗れる第63巻第38話「ゴールド・E(エクスペリエンス)・レクイエム」

第55巻に入っているのは、ホワイト・アルバム戦のあとに続く『ボスよりの最終指令』までです。ブチャラティとの戦いは、次の第56巻から始まります。

能力の説明だけを追いたいなら、第56巻とアニメ第21話の2か所で足ります。

第5部は単行本47〜63巻。部ごとの巻数はジョジョは何巻までにまとめています。

アニメの第5部は全39話で、2018年10月5日から2019年7月28日まで放送されました。ほかの部の話数はジョジョアニメは全何話に一覧があります。

関連するスタンド・人物

本体のディアボロと、別人格のヴィネガー・ドッピオは、1つの体を共有しています。

予知も時飛ばしも通じなかった相手が、ジョルノ・ジョバァーナのゴールド・エクスペリエンス・レクイエムです。

ディアボロに与えられたのは、終わりのない「終わり」でした(第63巻/アニメ第5部第38話)。「死ぬ」という真実にさえ、たどり着けない結末です。

時を止める側のスタンドと見比べたい人は、スタープラチナの能力と時止めの秒数を開いてみてください。

参考

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