ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムの能力|2つの効果と登場巻

ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムは、ジョルノ・ジョバァーナのスタンドを「矢」で貫いて生まれた姿です。能力は大きく2つあります。

1つは、ジョルノに向けられた行動と意思を、起こす前の状態に戻すこと。もう1つは、殴った相手を「死んだ」という結果にさえ到達させないことです(単行本第63巻)。

「永遠に真実に到達しない」という言い回しだけが一人歩きしやすいところですが、原作で描かれた効果はこの2つです。ポルナレフのシルバーチャリオッツ・レクイエムとの違いや、バイツァ・ダストが入らない理由まで、巻数つきで確かめられます。

この記事は第5部『黄金の風』の結末と、第4部『ダイヤモンドは砕けない』の終盤に触れます(ネタバレを含みます)。

レクイエムとは|「矢」でスタンドを射抜くと生まれる

人に矢が刺さると、スタンドが発現します。そのスタンドをもう一度矢で射抜いたときに生まれるのが、レクイエムです。

原作で描かれているのはこの順番だけ。「矢に刺されればレクイエムになる」と覚えていると、第4部で矢に刺さった吉良吉影の例と話が合わなくなります。

原作での表記は「鎮魂歌(レクイエム)」。アニメ第34話・第35話の題も「鎮魂歌(レクイエム)は静かに奏でられる」です(TVアニメ『黄金の風』公式サイト)。

矢の秘密を知っていたのはポルナレフで、スタンドの力には「先」があると明かします(アニメ第35話)。

レクイエムが出てくるのは第5部『黄金の風』だけで、原作でレクイエム化したスタンドは2つ。単行本では第47〜63巻に収まる範囲の話です。

第5部が単行本の何巻にあたるかは「ジョジョは何巻まで? 第5部まで通し63巻、第6部から1巻に戻る」に一覧があります。

ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムの能力

どこで生まれたのか

生まれるのは、ローマでのディアボロとの最終決戦です(単行本第63巻『ゴールド・E・レクイエム』)。

仲間がつないだ矢を受け取ったジョルノが、自分のゴールド・エクスペリエンスを矢で貫きます。同じ流れが、アニメ公式サイトの第38話あらすじにも書かれています。

現れ方は、ゴールド・エクスペリエンスの内部からの脱皮。額に矢尻を残したまま、矢のエネルギーを完全にコントロールしています。

元のゴールド・エクスペリエンスは、触れた物に生命を与えるスタンド。無機物を生き物に変えたり、人体の部品を作って傷にはめ込んだりできます(第5部)。

レクイエムになると、このスタンドパワーが強化されたうえで、まったく別の効果が2つ加わります。

防御|ジョルノへの行動と意思を「ゼロ」に戻す

1つめは、ジョルノに使った能力も攻撃も、届く前に無かったことにする効果です(単行本第63巻)。相手が戻されるのは、行動を起こす前の状態です。

これはキング・クリムゾンが時の消し飛んだ世界で仕掛けた攻撃にも働きます。エピタフが100%の精度で見た「絶対に起こる未来」も例外ではありません。

攻撃が当たらないのではなく、攻撃しようとした行動ごと巻き戻されます。避ける・弾くといった防ぎ方とは、起きていることが違います。

時飛ばしの仕組みが気になる人は「キング・クリムゾンの能力|時を消す・止める・戻すの違い」を読んでみてください。

攻撃|殴られた者は「死」にも到達できない

2つめの効果を、原作は「永遠に真実に到達することは決してない」と書いています(第63巻88〜104ページ)。

殴られた者は、死んだことさえゼロに戻されます。そのため「死ぬ」という真実にも届かず、永遠に死を迎え続けることになります。

その状態ではスタンドを出すこともできません。ジョルノの言葉では「終わりのないのが『終わり』」(単行本第63巻123〜126ページ)。

倒して終わりにするのではなく、終わりそのものを取り上げます。これが「真実に到達しない」の中身です。

本体のジョルノは、この能力を自覚しないまま戦っています(第63巻)。それでいて、スタンド自体は元のゴールド・エクスペリエンスと違い、明確な自我を持っています。

時を飛ばされた空間でディアボロに話しかける場面もあります。

ステータスがすべて「なし」なのはなぜか

ステータスは6項目とも「なし」と表記されています(第63巻、『JOJOVELLER』2013年)。単行本の表記で通常形態と並べると、数値の消え方がはっきりします。

項目ゴールド・エクスペリエンスゴールド・エクスペリエンス・レクイエム
破壊力Cなし
スピードAなし
射程距離E(2m)なし
持続力Dなし
精密動作性Cなし
成長性Aなし

6項目すべてが「なし」なのは、能力が低いからではありません。AからEのものさしでは測れない、という意味です。

シルバーチャリオッツ・レクイエムの能力

発現の経緯|ポルナレフが死ぬ寸前に矢を守るため

もう1つのレクイエムは、ポルナレフのシルバーチャリオッツが矢に貫かれて生まれた姿です。収録は単行本第62巻『鎮魂歌は静かに奏でられる』。

ローマのコロッセオでディアボロに敗れ、ポルナレフは力尽きる寸前でした。矢を奪われるのを防ぐため、自分のスタンドを矢で貫きます。

公式サイトの第34話あらすじには「ポルナレフのスタンド『シルバーチャリオッツ』が『矢』に貫かれた」とあります。刺さったのは本体ではなくスタンドのほうです。

再起不能の状態だったポルナレフには制御できず、レクイエムは暴走します。

ステータスは射程距離・持続力・成長性がA。破壊力・スピード・精密動作性はEです(第62巻)。

アニメ公式サイトの表記は「シルバーチャリオッツ」。シルバーとチャリオッツの間に中黒は入りません。進化後は「チャリオッツ・レクイエム」と書き分けられています。

能力|眠らせて魂を入れ替える

効果は3つあります。1つめは、周囲の生物をすべて眠らせ、眠った者同士の魂を入れ替えることです。

入れ替えられた者は、放っておくとやがて別の生物へ変わっていく運命です。アニメ第36話では、ポルナレフの身体が異形へ変わり始めます。

2つめは、矢を奪おうとする者への反撃です。相手の攻撃をそのまま返し、スタンドを暴走させて本体自身を攻撃させることさえありました。

3つめは、相手によっては自分から襲いかかることです。攻撃の意思がなく、スタンド使いでもない者が矢を奪おうとする場合に起こります。

作中ではブチャラティの魂がディアボロの肉体に入り、ナランチャの魂はジョルノの肉体に入りました。ミスタとトリッシュの魂も入れ替わり、ポルナレフの魂は亀のココ・ジャンボへ移ります(第62巻)。

混乱の隙を突いたディアボロに、ナランチャが殺害されます。最後はブチャラティがレクイエムを破壊し、魂が元に戻りました(第62〜63巻)。

倒し方|背後の光源を壊すしかない

本体は、見る者の背後にある光源です。

一体のスタンドに見えますが、実際はあらゆる生物の「魂の影」。誰がどの方向から見ても、影は自分と反対方向へ伸びているように見えます。

影を映しているのは、その人の精神の背後にある太陽のような光源です。レクイエムを見るのは自分の精神を見るのと同じで、攻撃すればそのまま自分に返ってきます。

倒す方法は1つだけ。自分の手で背後の光源を壊すことです。アニメではこの光源が黄金の球体として描かれ、壊すと能力が解ける演出になりました(アニメ第37話)。

2つのレクイエムの違いとレクイエム化の条件

同じ「矢でスタンドを射抜いた」結果でも、2つのレクイエムは生まれ方も効き方も別ものです。

項目ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムシルバーチャリオッツ・レクイエム
本体ジョルノ・ジョバァーナジャン・ピエール・ポルナレフ
きっかけ自分の意思で矢を突き刺す力尽きる寸前に矢を守るため
主な効果動作と意思をゼロに戻す眠らせて魂を入れ替える
本体の制御自覚はないが暴走しない制御できず暴走
終わり方壊される場面は描かれない背後の光源を壊されて消える
原作の巻第63巻第62巻

同じ矢から生まれても、本体が制御できるかどうかで結果が正反対になります。ここが2つを見分ける一番の目印です。

レクイエムになるかどうかの分かれ目は、矢が何に刺さったかにあります。第4部と第5部で矢に刺された例を表にすると、違いがはっきりします。

矢が刺さった先何が起きたか原作の巻
ポルナレフのシルバーチャリオッツレクイエム化第62巻
ジョルノのゴールド・エクスペリエンスレクイエム化第63巻
吉良吉影の左腕(本体)バイツァ・ダストが発現第45巻
ブラック・サバスが引き出した魂才能があれば発現・なければ死亡第48巻

レクイエム化しているのは、スタンドそのものを射抜いた上の2例だけ。人や魂を射抜いた場合は、新しい能力が生まれてもレクイエムとは呼ばれていません。

よくある疑問

バイツァ・ダストはレクイエムなのか

原作でレクイエムとは呼ばれていません。

バイツァ・ダストは、追い詰められた吉良吉影の左腕に「矢」が刺さって発現した、キラークイーンの第三の爆弾です(第45巻)。集英社の書誌でも、この巻は「再び『矢』に射抜かれた吉良に新しい能力が備わった」と紹介されています。

刺さったのは本体である吉良の腕で、キラークイーンというスタンドを射抜いたわけではありません。

能力は、時を1時間ほど巻き戻すこと。進化したスタンドのなかで唯一、外見が変わっていないのも特徴です。

ゴールド・エクスペリエンスはポルポの矢でレクイエム化しなかったのか

ポルポの入団試験で使われた矢と、レクイエムを生んだ矢は別の矢です。

ディアボロがエジプトで発掘した矢は6本あり、そのうち1本をポルポが試験に使いました。この矢はジョルノに破壊されています。

第5部の終盤でレクイエムを生むのは、ポルナレフがエジプトで手に入れた別の1本。ブチャラティたちがコロッセオへ向かったのは、この矢を受け取るためでした。

ポルポのブラック・サバスは、捕えた人間の魂またはスタンドを引きずり出し、口の中の矢で突き刺すスタンドです。才能がない人間の魂は、貫かれると死亡します。

ジョルノが試験を受けるのは単行本第48巻で、その時点ですでにゴールド・エクスペリエンスを使っています(集英社の書誌)。

同じ「矢」という言葉でも、第5部には別々の矢が出てきます。そう覚えておくと、終盤で矢を追いかける展開が読みやすくなります。

ディアボロは最後どうなったのか

ティベレ川へ叩き落とされて敗北し、そのあと終わりのない死に置かれます(第63巻)。

キング・クリムゾンはまったく通用せず、予知も時飛ばしも無効化されました。トリッシュはディアボロの生存を感じており、死そのものは免れています。

代わりに与えられたのが、「死」という真実に永遠に到れない状態です。麻薬中毒者に刺殺され、意識があるのに死者として解剖され、車に轢き殺されます。

こうしたあっけない死を繰り返し、心配して近づいてきた少女にさえ恐怖して叫び出す姿までが描かれます。生かしたまま死を繰り返させるのが、ディアボロに与えられた結末です。

声優は誰か・アニメでは何話に出るのか

TVアニメ『黄金の風』のジョルノ・ジョバァーナ役は小野賢章です(公式サイト STAFF&CAST)。レクイエムのセリフも、同じ声優が担当しています。

ゲームでは担当が分かれています。『黄金の旋風』は朴璐美、『オールスターバトル』と『アイズオブヘブン』は渡辺美佐、『ラストサバイバー』は小野賢章です。

ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムが登場するのは、アニメ第38話「ゴールド・E(エクスペリエンス)・レクイエム」。最終話の第39話「眠れる奴隷」と同じ2019年7月28日に放送されました(全39話)。

各部の話数は「ジョジョアニメは全何話?部ごとに話数を一覧でまとめ」で確かめられます。

「レクイエム」という名前は何を指しているのか

手がかりになるのは、荒木飛呂彦のコメントです。デザインの意図が『JOJOVELLER完全限定版 STANDS』(2013年)に載っています。

チャリオッツ・レクイエムの元にあるのは、死のイメージと暗黒の使者。モーツァルトにレクイエムの作曲を依頼した謎の人物も挙げられています(同)。

性別も謎なので中性的なファッションにした、とも語られています(同)。

ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムのほうは、通常形態を素直に成長させたデザイン。模様を残したまま矢があしらわれています(同)。

頭が開いた形について、荒木飛呂彦は「成長して花開いたからかな」と語っています(同)。スタンド名の由来にあたる曲やバンドは、原作でも公式の資料でも確認できません。

ほかのスタンドもレクイエムになれるのか

レクイエム化の条件は、原作で明かされていません。

強靭なスタンド使いでなければ真の力に到達できない、というポルナレフの見立てが語られるだけです。

矢を使わずにスタンドが別のものへ変わる例もあります。第6部『ストーンオーシャン』でエンリコ・プッチが実行した「天国へ行く方法」です。

プッチのスタンドはホワイトスネイクからC-MOON、そしてメイド・イン・ヘブンへと変わりました。

その先で世界に何が起きたのかは「空条承太郎は一巡後の世界にいない|メイド・イン・ヘブンの仕組み」にまとめています。

スピンオフ小説などのメディアミックス作品には、「アルティメット・レクイエム」と名のつくスタンドも登場します。ただし原作の設定ではありません。

登場する巻と話

レクイエムが関わる場面を、原作の巻とアニメの話でそろえました。

出来事原作の巻アニメの話
ポルナレフがシルバーチャリオッツを矢で貫く第62巻第34話
レクイエムが暴走し、魂が入れ替わる第62巻第34〜35話
ディアボロが矢を奪い、ブチャラティが破壊第62〜63巻第36〜37話
ジョルノがゴールド・エクスペリエンスを貫く第63巻第38話
ディアボロが終わりのない死に落ちる第63巻第38話

レクイエムが出てくるのは第62〜63巻、アニメでは全39話のうち第34〜38話です。ここだけ読み返したい人は、第62巻の『鎮魂歌は静かに奏でられる』から開いてみてください。

根拠となる描写と発言

能力の説明の根拠になる言葉と、その出典をまとめました。

描写・発言出典それが示すこと
「永遠に真実に到達することは決してない」単行本第63巻88〜104ページ効果は結果に届かせないこと
「終わりのないのが『終わり』」単行本第63巻123〜126ページ死という結果にも届かない
ステータスが6項目とも「なし」第63巻/『JOJOVELLER』2013年数値で測れないという表示
「ポルナレフのスタンド『シルバーチャリオッツ』が『矢』に貫かれた」アニメ公式サイト 第34話刺さったのは本体でなくスタンド
「『死ぬ』という真実へさえも辿り着かない」アニメ公式サイト 第38話公式の説明も原作と同じ内容
「成長して花開いたからかな」『JOJOVELLER』2013年頭が開いたデザインの理由

原作とアニメ公式サイトでは言い方が違いますが、指しているのはどちらも「結果に届かない」状態です。

巻とページの目安を添えたので、原作のこのあたりを開けば描写にたどり着けます。

参考

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