ザ・ワールドは時を止める、キング・クリムゾンは時を消し飛ばす、バイツァ・ダストは時を1時間巻き戻す。3つとも「時間」を扱う能力ですが、起きていることは別ものです。
一番ややこしいのは「止まっている間・消えている間に、本体は相手へ手を出せるのか」というところ。ここは3つで答えが違うので、続く長さと根拠の巻・話数をそろえて、確かめられるようにまとめました。
この記事は第3部・第4部・第5部の結末に触れます(ネタバレを含みます)。
時止め・時飛ばし・時戻しの違い
3つの違いは、時間をどう動かすかにあります。止める・消す・戻すの3通りで、続く長さもばらばらです。
まずは、どのスタンドが時に何をするのかを一覧で。
| スタンド | 時に何をするか | 本体(部) |
|---|---|---|
| ザ・ワールド(世界) | 自分以外の時を止める | DIO(第3部) |
| バイツァ・ダスト(負けて死ね) | 時を約1時間巻き戻す | 吉良吉影(第4部) |
| キング・クリムゾン(深紅の王) | 時を十数秒消し飛ばす | ディアボロ(第5部) |
第3部では、止まった時の中で全員がその場で固まります。第4部で起きるのは約1時間の巻き戻しで、時そのものは止まりません。第5部で止まるのは意識だけで、行動そのものは続きます。
時に何が起きて、周りの人がどうなるか。ここが3つを見分ける最初の目印です。
続く長さは、一瞬から約1時間まで幅があります。
| スタンド | 続く長さ | 原作での根拠 |
|---|---|---|
| ザ・ワールド | 一瞬 → 5秒 → 9秒と伸びる | 第3部のDIO戦 |
| バイツァ・ダスト | 約1時間(戻る時刻はずれる) | 第4部の終盤 |
| キング・クリムゾン | 十数秒 | 第56巻収録の『キング・クリムゾンの謎』 |
秒で数える2つと、1時間単位が1つ。バイツァ・ダストだけは、戦いが始まる前の出来事まで巻き込みます。
その間に相手へ手を出せるかどうかは、3つで答えが割れます。
| スタンド | その間に相手へ手を出せるか | 原作の描写 |
|---|---|---|
| ザ・ワールド | 出せる | 止まった中でナイフを投げ、ロードローラーも落とす(第3部) |
| バイツァ・ダスト | 取り憑いた相手には吉良も出せない | 攻撃はキラークイーンが自動で防ぐ(第4部) |
| キング・クリムゾン | 出せない描写が多い | 消し飛ばした時間で攻撃した場面もある(第5部) |
ザ・ワールドは、止めた時間そのものが攻撃の手段になっています。キング・クリムゾンについては原作の描写が食い違うので、後半の疑問でまとめました。
原作とアニメのどこで出てくるかも、あわせて確かめておきます。
| スタンド | 原作の部と巻 | アニメの話 |
|---|---|---|
| ザ・ワールド | 第3部(第12〜28巻) | 第3部第45〜47話「DIOの世界」 |
| バイツァ・ダスト | 第4部(第29〜47巻) | 第4部第35〜36話「アナザーワン バイツァ・ダスト」 |
| キング・クリムゾン | 第5部(第47〜63巻) | 第5部第21話「キング・クリムゾンの謎」 |
第4部と第5部は第47巻でまたがるので、巻数だけでは部の切れ目が分かりません。部ごとのアニメの話数はジョジョアニメの全話数の一覧にまとめてあります。
前提になる4つの決まり
1つ目は、能力の出どころです。「スタンドの矢」で発現したと原作に書かれているのは、キラークイーンとバイツァ・ダストの2つです。
吉良吉影は、父の吉廣がエンヤ婆から手に入れた弓と矢でキラークイーンを得ました(第4部)。ディアボロのほうは、矢を発掘した側です。
エジプトの遺跡発掘に参加して矢を6本見つけ、盗んで逃げました(第61巻)。エンヤ婆はDIOの部下として第3部に登場する人物なので、矢は部をまたいで受け渡されています。
DIOのザ・ワールドは、第3部では「ジョナサン・ジョースターの肉体を得て新たに手に入れた能力」として説明されます。
弓と矢がDIOと関わりのある品だと分かるのは第4部です。短期間で大勢のスタンド使いがそろっていたのも、この弓と矢によるものでした。
2つ目は、止まった時の中で動けるスタンドです。原作では空条承太郎のスタープラチナと、エンリコ・プッチのメイド・イン・ヘブンの2つに限られます。
承太郎のスタープラチナが時を止める力に目覚めるのは、第3部の最終決戦です。第4部以降は「スタープラチナ・ザ・ワールド」と呼ばれ、止められる長さは最長5秒になります。
3つ目は、時が止まる理屈です。言葉で説明されるのは第6部『ストーンオーシャン』の第3巻27ページと第17巻66ページでした。
スタンドのスピードが光の速度(または時間)を超えたとき、この世の時間を止められると書かれています。第3部の時点では、原理そのものは語られていません。
4つ目は、名前の付け方です。第3部のスタンド名はタロットの大アルカナから取られ、ザ・ワールドは21番目のカード「世界」の暗示を持ちます。
第4部以降は、洋楽のアーティスト名・曲名・アルバム名から取られたものが多くなります。キング・クリムゾンもバイツァ・ダストも、実在するバンドと曲の名前です。
時間そのものを動かさない能力と混ぜないように注意したいところ。第7部のD4Cとラブトレインの能力は並行世界を行き来しますが、時間には手を触れません。
ザ・ワールドの能力(時を止める)
ザ・ワールドは、自分以外の時を止めるスタンドです。DIOはこの力を「まさに『世界』を支配する能力」と呼びました(第3部)。
時が止まっている間に動けるスタンドは限られるので、ほかの人にはDIOが瞬間移動したように見えます。気づいたときには間合いを詰められていて、避けようがありません。
DIOは止まった時の中で、承太郎の周りに無数のナイフを投げつけました。さらにロードローラーを落とし、押し潰そうとしています(第3部)。
物の扱いは少し複雑です。DIOから2〜3メートル以上離れると、投げたものは空中で静止します。
停止時間は戦いの中で伸びていきます。初めは一瞬でしたが、承太郎との交戦時で5秒、ジョセフの血を吸ったあとは9秒まで延びました(第3部)。
この9秒は、アニメの演出にも使われています。第3部第47話「DIOの世界 その3」のオープニングで、時が9秒間止まります(ジョジョ公式ポータルの制作ノート)。
元ネタはタロットの21番目のカード「世界」です。
ステータスは破壊力A・スピードA・射程距離C・持続力A・精密動作性B・成長性B。数値は『JOJOVELLER』(集英社、2013年)に載っています。
名前の表記には少し注意が必要です。「ザ・ワールド(世界)」の呼び方が固まるのは、単行本第27巻以降でした。
それより前の巻では表記が揺れていました。文庫版(2002年〜)では最初から統一されています。序盤を読み返したときに名前がそろって見えないのは、そのためです。
キング・クリムゾンの能力(時を消し飛ばす)
キング・クリムゾンは、十数秒の時間を消し飛ばすスタンドです。止めるのではなく、その十数秒をなかったことにします。
消し飛ばされた時の中で、ディアボロは何者にも干渉されません。あらゆる攻撃がすり抜けていきます(第5部)。
ほかの人はどうなるかというと、行動だけを続けたまま意識を失います。当たるはずだった攻撃が、気づいたときには外れています。
できるのは未来へ先回りすることだけで、過去へは戻れません。時間を巻き戻す能力ではない、というのがバイツァ・ダストとの大きな違いです。
能力がまとめて説明されるのは、単行本第56巻に収録された『キング・クリムゾンの謎 その1〜6』です。同じ巻の108ページに、パラメータと解説が載っています。
アニメで同じ題が付いているのは、第5部第21話「キング・クリムゾンの謎」。能力の説明だけを確かめたい人は、この巻とこの話が出発点になります。
ディアボロ本人が姿を見せるのは、ずっとあとの第61巻『そいつの名はディアボロ その2』でした。能力が先に出て、本体が後から出てくる順番です。
元ネタは、イギリスのバンド、キング・クリムゾン(King Crimson)。原作での日本語表記は「深紅の王」です。
第63巻の最終決戦では、ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムに予知も時飛ばしも通じませんでした。攻撃の動作や意志の力をゼロにする能力の前では、時を消しても届きません。
エピタフ(墓碑銘)は何をする能力か
エピタフは、十数秒先の未来の映像を見る補助の能力です。キング・クリムゾンの頭部に付いた、もう一つの顔がその役目を持ちます(第5部)。
見えた未来の的中率は100%です。映像はディアボロの目線に限らず、自分を俯瞰した形にも切り替えられます。
100%当たるはずの未来を、その時間ごと消して例外にする。これがエピタフと時飛ばしを組み合わせた使い方です。
エピタフは単体でも出せますが、時飛ばしと併せないと効果は大きく下がります。ドッピオが借りられるのはエピタフと両腕までで、時を消す力までは使えません。
元ネタの曲は「エピタフ(墓碑銘)」(Epitaph)です。バンドの1stアルバム『クリムゾン・キングの宮殿』(1969年)に入っています。
バイツァ・ダストの能力(時を1時間戻す)
バイツァ・ダストは、時間を約1時間巻き戻すキラークイーンの第3の爆弾です。吉良吉影が、ひとりでに動き出した矢に再び貫かれて発現しました(第4部)。
仕組みは、爆弾にする・時間が戻る・取り憑く・爆殺する、の4段階です。最初は、吉良の正体を知ったスタンド使いでない人間を爆弾に変え、スイッチを入れることです。
周囲が爆発し、時間が約1時間戻ります。戻ったあと、キラークイーンはその人物に取り憑いた状態になっています。
取り憑かれた人物から吉良の情報が漏れると、小さくなったキラークイーンが飛び出す仕掛けです。情報を知らされた相手は、その場で全員爆殺されます。
一度爆殺された者は、同じ時間が来るとまた自動で爆殺されます。このときは時間が戻りません。
キラークイーンを「見た」時点で、瞳の中に入られています。吉良が解除しない限り、爆殺から逃れる方法はありません。
戻る時刻は毎回同じではありません。岸辺露伴の爆殺では7時30分に戻り、次の東方仗助の爆殺では7時36分に戻りました(第4部)。
ループは吉良が解除するまで続きます。その間は、吉良自身もキラークイーンを使えません。
取り憑かれた人物は、攻撃されても死にません。キラークイーンがすべて自動で防ぐためです。本人が自分を傷つけることもできず、吉良の側からも手を出せません。
爆殺の対象になるのは、情報を得た人だけではありません。吉良のことを聞き出そうとした人も含まれます。
よくある疑問
時が止まっている間、DIOは相手を殴れるのか
殴れます。承太郎の周りにナイフを投げ、ロードローラーを落としたのは、どちらも時が止まっている間の出来事です(第3部)。
ほかの人からは、DIOが瞬間移動したように見えます。避けたはずの攻撃が当たっているのは、この時間差のためです。
時飛ばしの間、ディアボロは攻撃できるのか
原作には、どちらの描写もあります。時を消し飛ばしている間、ディアボロが他者に触れられない場面が多く描かれます。
一方で、トリッシュの最初の拉致とナランチャの殺害は、消し飛ばした時間の中で行われました(第5部)。
片方だけを正しいとせず、両方が原作にあると覚えておくと迷いません。
時が戻ったあと、誰が覚えているのか
覚えているのは、バイツァ・ダストを仕掛けられた本人だけです。周りの人も、吉良本人も覚えていません(第4部)。
吉良は、巻き戻る前に何が起きたのか、何回目のループなのかを知りません。何度目かを数えられるのは取り憑かれた側だけ、というのが混乱しやすいところです。
バイツァ・ダストの「意味」は何か
原作で当てられている日本語は「負けて死ね」です。名前そのものは、クイーンの「アナザー・ワン・バイツ・ザ・ダスト」から取られています。
原題は Another One Bites the Dust で、邦題は「地獄へ道づれ」(1980年)です。
名前の由来は『集英社ジャンプリミックス ダイヤモンドは砕けないvol.17』190ページに載っています。「The origin of STANDS!」part.6 という記事です。
3つがぶつかる場面は原作にあるのか
3つがそろって戦う場面はありません。別々の部に出てくる能力だからです。
ただし、時止めと時戻しは第4部の最終決戦で一度だけぶつかります。吉良は救急隊員の女性を媒体にして、もう一度バイツァ・ダストを発動しようとしました。
これを承太郎のスタープラチナ・ザ・ワールドと広瀬康一のエコーズACT3が妨げました。発動できないまま吹き飛ばされた吉良は、救急車の後輪に頭部を轢かれて死亡します(第47巻)。
時止めと時戻しがぶつかる場面を読みたい人は、第47巻を開いてみてください。
第7部には、5秒だけ時を止める THE WORLD を使う並行世界のディエゴが出てきます。相手をしたのは、ジョニィのタスクACT4の能力でした。
時を加速させるメイド・イン・ヘブンは3つに入らないのか
メイド・イン・ヘブンは時間を加速させる能力なので、止める・消す・戻すのどれとも別です。生物以外のすべての時間を無限に速め、世界が一巡した先まで進めます(第6部)。
スタープラチナと並んで、止まった時の中で動けるスタンドでもあります。第6部を読むときは、加速の力と、止まった時で動ける性質を分けて覚えておくと混ざりません。
根拠になる原作の描写
ここまで挙げた事実の出どころを、1つの表にまとめました。
| 描写・記載 | 出典(巻・話) | それが示すこと |
|---|---|---|
| 停止時間が一瞬から5秒、9秒へ伸びる | 第3部のDIO戦 | 時止めは長さが変わる能力 |
| 「ザ・ワールド(世界)」の呼び方が固まる | 単行本第27巻以降 | 序盤で名前がそろわないのは表記の揺れ |
| 時間停止の原理の説明 | 第6部第3巻27ページ・第17巻66ページ | 理屈が言葉になったのは第6部 |
| キング・クリムゾンの能力とパラメータ | 第56巻収録『キング・クリムゾンの謎』108ページ | 時飛ばしの説明がまとまっている場所 |
| ディアボロ本人の初登場 | 第61巻『そいつの名はディアボロ その2』 | 能力が先、本体が後という出し方 |
| 消し飛ばした時間の中での攻撃 | 第5部(トリッシュの拉致・ナランチャの殺害) | 触れられない描写と食い違う場面がある |
| 戻る時刻が7時30分から7時36分へずれる | 第4部の終盤 | ループの起点は毎回同じではない |
| 時止めがバイツァ・ダストの再発動を妨げる | 第47巻の最終決戦 | 3つのうち2つが同じ場面でぶつかる |
原理の説明は第6部、時飛ばしの解説は第56巻。表の真ん中の列が、読み返すときの目印になります。
参考
- 『ジョジョの奇妙な冒険』第27〜28巻・第44〜47巻・第56〜63巻(集英社)
- 集英社 書誌『ジョジョの奇妙な冒険』47
- ジョジョの奇妙な冒険 公式ポータルサイト PRODUCTION NOTE 04
- TVアニメ『黄金の風』公式サイト 第21話「キング・クリムゾンの謎」
- Wikipedia「吉良吉影」

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