ジョジョリオンの矛盾と未回収の伏線|答えが出ている謎もある

ジョジョで「未回収の伏線」と言われるものは、3つに分かれます。あとの巻で答えが描かれたもの、答えが出ないまま部が終わったもの、作者が伏線ではないと語ったものです。

たとえば第4部で仗助を助けたリーゼントの少年は、伏線ではありません。作者が1994年の対談で「ただの仗助の思い出」と答えています。

第8部『ジョジョリオン』で矛盾と言われる定助の星型のアザも、吉良吉影から受け継いだもので矛盾ではありません。

「結局どれが本当に未回収なの?」は、ネットの一覧を読むほど混乱しやすいところ。この記事では第4部・第5部・『ジョジョリオン』を中心に、伏線と矛盾を根拠の巻と作者の発言つきで仕分けました。

この記事は第1部から第8部までの結末と正体に触れます(ネタバレを含みます)。連載中の第9部『The JOJOLands』は扱いません。

伏線を「回収済み・未回収・伏線ではなかった」に仕分ける基準

仕分けの手がかりは、原作の描写と作者の発言の2つだけです。作者が何も語っていない項目は、原作に答えが描かれたかどうかで分けます。

札は、伏線の3つに「矛盾と言われるもの」を足した4つです。

札意味例
回収済みあとの巻や別の部で答えが描かれた第1部最終話の赤ん坊(第2部のリサリサ)
未回収答えが描かれないまま部が終わった『ジョジョリオン』の記憶の男
伏線ではなかった作者が伏線ではない・続きはないと語った、または構想を変えた仗助を助けた少年
矛盾と言われるもの作者が直したもの、記載が2通りあるもの、原作に説明があるものツェペリ男爵の台詞

ネットの「未回収の一覧」には、同じ巻のうちに答えが描かれている項目も混ざっています。第4部のトンネルの中の部屋(第41巻)が、その一例です。

ジョジョリオンの伏線と矛盾|回収済みと未回収

第8部『ジョジョリオン』は全27巻・全110話で、2021年8月に連載を終えています。この節の巻数は、『ジョジョリオン』の第1〜27巻で数えています(通算では第105〜131巻)。

よく挙がる9つの謎を、札と根拠の巻で仕分けました。

謎札根拠の巻
定助の正体回収済み(吉良吉影と空条仗世文の融合)第11〜14巻
眼球と舌の継ぎ目回収済み(2人が融合した跡)第4巻(第17話)→第13巻
東方家の「呪い」回収済み(つるぎの病を透龍へ移して完治)第1巻→第27巻
院長の正体回収済み(ワンダー・オブ・U。本体は透龍)第25〜27巻
壁の目の役割回収済み(スタンドを目覚めさせ、等価交換を起こす土地)第1巻〜
定助の肩の歯型未回収(何が噛んだのかは示されない)第1巻
定助が思い出した男未回収(正体は描かれない)第1巻(第5話)
1901年に漂着した赤ん坊未回収(その後は不明)第5巻(第22話)
吉良ホリーの病未回収(治らないまま完結)第27巻

未回収は4つで、うち3つは第1巻と第5巻、つまり物語の序盤に出てきたものです。

同じ序盤の謎でも、体の継ぎ目には答えがあります。第4巻(第17話)で2人の融合だと示され、第11〜14巻で相手と経緯が描かれます。

定助が思い出した「記憶の男」は誰なのか

原作では明かされていません。場面は第1巻の第5話「ソフト&ウェット その④」(単行本での題)です。

笹目桜二郎に襲われている最中に、定助は一瞬だけ男の顔を思い出します。肩までのまっすぐな髪で、前髪が顔の右側にかかった男です。

定助は、記憶をなくす前に知っていた人物だと感じています。

1901年に漂着した赤ん坊は誰なのか

身元もその後も、明かされないまま物語が終わります。出てくるのは第5巻の第22話「杜王町『1901年』」(単行本での題)です。

康穂は、ジョニィ・ジョースターが死んだ日の出来事を調べます。その日、二本松の根元の海岸に、1〜2歳くらいの男の子が流れ着いていました。

身につけていたのは、ニット帽と靴下、高価なネックレスだけです。保護者は探されましたが、それより後の記録は残っていません。

歯型と壁の目は説明されたのか

壁の目の役割は描かれ、歯型を付けたものの正体は描かれていません。2つをひとくくりに「謎」と呼ぶと、どちらが未回収なのか分かりにくくなります。

壁の目は、2011年3月11日の震災で海岸近くに隆起した壁です(第1巻)。笹目桜二郎や東方大弥は、この土地でスタンドを身につけました。

広瀬康穂や東方常秀も、ここで傷を負って熱を出したあとにスタンド能力に目覚めています。ロカカカの実や聖なる遺体と並んで、等価交換を起こすのがこの土地です。

第7部『スティール・ボール・ラン』の「悪魔の手のひら」と同じく、土地そのものがスタンドを目覚めさせます。

歯型のほうは、『ウルトラジャンプ』公式の作品紹介でも「何かに噛まれたかのような『歯型』」と書かれるだけです。常秀も壁の目で「歯型の傷」を負いますが、何が噛んだのかは描かれません。

吉良ホリーの病は治ったのか

治っていません。定助が院長を倒したことで、ホリーは岩人間たちの支配からは解放されます。それでも、病は治りませんでした(第27巻)。

病を治す材料だった新ロカカカも、決戦のあいだに使い切られています。院長の正体とホリーのその後は、ジョジョリオンの結末の記事で順を追って説明しています。

仗世文の星型のアザと吉良吉影の名前は矛盾なのか

どちらも矛盾ではありません。定助の星型のアザは、仗世文ではなく吉良吉影から受け継いだものです。

吉影はジョニィ・ジョースターと東方理那の子孫で、首筋に星型のアザがあります。妹の虹村京にも、ジョースター家の血筋を表す同じアザがあります。

アザを仗世文の体の特徴だと思って読むと、矛盾に見えてしまうところです。定助は2人が融合した体なので、吉影の側の特徴も残っています(第4巻・第13〜14巻)。

第4部と同じ名前の人物が出てくる点も、第1巻のカバーに答えがあります。

矛盾と言われる点原作での答え根拠
仗世文の体に星型のアザがある吉影から受け継いだアザ。吉影も京もジョースター家の血筋第4巻・第13〜14巻(融合)
第4部と同じ名前の人物が別人として出る第8部の杜王町は、第4部と同じ地名でも別物『ジョジョリオン』第1巻カバー

吉良吉影や東方家の名前が同じでも、第4部の人物と結びつけて読む必要はありません。

ジョジョ4部の伏線|未回収と言われる6つの答え

第4部『ダイヤモンドは砕けない』(第29〜47巻)でよく挙がる謎は6つです。内訳は、作者が答えたもの、原作に答えがあるもの、答えが出ないものが2つずつです。

項目札根拠
仗助を助けたリーゼントの少年伏線ではなかった(作者「ただの仗助の思い出」)第35巻(第324話)
透明の赤ちゃん(静・ジョースター)伏線ではなかった(作者が再登場は「ないです」)第34巻
支倉未起隆は宇宙人か未回収(作者も決めていない)第40〜41巻
トンネルの中の部屋回収済み(ハイウェイ・スターが見せた幻覚)第41巻
杉本鈴美を殺した犯人回収済み(吉良吉影)第35〜36巻(吉良の初登場は第36巻)
虹村兄弟の父未回収(元の姿に戻らないまま)第30巻〜

未回収の代表のように語られる仗助の恩人と透明の赤ちゃんは、どちらも作者が答えを出しています。

二つ杜トンネルの部屋は、噴上裕也のスタンド、ハイウェイ・スターが見せた幻覚です(第41巻)。

杉本鈴美は、15年前の事件で殺されて幽霊になった少女です(第35〜36巻「岸辺露伴の冒険」)。犯人は吉良吉影でした。

吉良の初登場は第36巻の「岸辺露伴の冒険 その⑤」で、第37巻から本格的に動き出します。

虹村兄弟の父は、DIOの死で「肉の芽」が暴走し、怪物のような姿になった人物です(第30巻)。吉良吉影の死後は、猫草といっしょに暮らしています(第47巻)。

TVアニメの最終話では父がトニオの料理を食べますが、肌がきれいになっただけで終わります。

仗助を助けた少年は仗助本人なのか

仗助が過去の自分に会った場面だ、という見方は作者が否定しています。ただし、少年が誰なのかは原作で明かされていません。

荒木飛呂彦は1994年、第3部OVAの北久保弘之監督との対談で、この見方について聞かれました。返事は「あれはただの仗助の思い出ですよ」でした。

回想が出てくるのは、第35巻の第324話「漫画家のうちへ遊びに行こう その⑦」です。DIOの復活でスタンドが目覚め、幼い仗助は高熱で生死の境をさまよっていました。

母の朋子が車で病院へ急ぐ途中、雪にタイヤを取られて車が動かなくなります。そこへ通りかかったリーゼントに学ラン姿の少年が、学ランをタイヤの下に敷いて車を押し出し、去っていきました。

朋子はあとで少年を探しましたが、見つかりません。もうろうとした意識の中で見たその姿にあこがれて、仗助は同じ髪型と服装をするようになります。

髪型をけなされると怒る理由は、東方仗助の記事にまとめています。

透明の赤ちゃんはその後どうなったのか

ジョセフ・ジョースターの養女になります。杜王町で迷子になっていたところをジョセフに保護されたのが、第34巻(第315〜317話)の事件です。

両親と素性は、最後まで分かりません。「静・ジョースター」という名前も、本編には出てきません。名前が明かされたのは、画集『JOJO A-GO!GO!』(集英社、2000年)です。

荒木飛呂彦は2003年、フジテレビの番組『週刊少年「」』の100の質問に答えています。かぎ括弧の中が空なのは誤植ではなく、番組名どおりの表記です。

Q73で静の再登場を聞かれ、「ないです(笑)」と返しました。

支倉未起隆は宇宙人なのか

宇宙人なのか、そう思い込んでいるスタンド使いなのかは、原作で明かされません。未起隆は「マゼラン星雲からやって来た『宇宙人』」を名乗る転校生で、第40巻の「ぼくは宇宙人」から登場します。

母親を名乗る人物が現れても、未起隆は「母親役を演じさせるために洗脳している」と話していました。

荒木飛呂彦は同じ画集『JOJO A-GO!GO!』(2000年)で、自分でも決めていないと語っています。「本当はどっちなんだろうな、というのが面白い」というのが、その理由です。

ジョジョ5部の伏線|フーゴの離脱とアニメのOP

第5部『黄金の風』の伏線には、原作の話(フーゴの離脱とエピローグ)と、アニメのOP映像の話の2種類があります。

項目札根拠
フーゴの途中離脱伏線ではなかった(初期構想の「裏切り者」の名残)第56巻/文庫版第39巻あとがき
ブチャラティの運命(エピローグ「眠れる奴隷」)回収済み(出会う前から石が運命を告げていた)第63巻/アニメ第5部第39話
第1弾OP冒頭のローリング・ストーン(ズ)回収済み(アニメの演出)アニメージュ2019年4月号
第2弾OP冒頭の手の甲へのキス回収済み(アニメの演出)アニメージュプラス(2019年)/アニメ第5部第39話

ここは原作とアニメの話が混ざりやすいところ。OPの2つは、原作の単行本を読み返しても見つかりません。

フーゴは、ボスを裏切ったブチャラティについて行かず、第56巻でひとりチームを離れます。初期の構想では、ミスタ・ナランチャ・フーゴ・アバッキオの誰かがチームを裏切る予定でした。

この案はカットされ、フーゴの途中退場はその名残です。荒木飛呂彦は文庫版第39巻(集英社文庫、2005年)のあとがきで、この裏話を明かしています。

フーゴを「裏切り者」として描こうとしても、「どーしても描く事が出来ませんでした」という内容です。あとがきの中身とフーゴのその後を描く小説2冊は、パンナコッタ・フーゴの記事にまとめています。

原作のエピローグ「眠れる奴隷」(第63巻)は、ジョルノがブチャラティたちに出会う前の話です。ミスタの前に現れた奇妙な石が、ブチャラティの「運命」を告げていました(アニメ第5部第39話の公式あらすじ)。

第1弾OP「Fighting Gold」の冒頭カットには、この「眠れる奴隷」につながる仕掛けがあります。木村泰大監督はアニメージュ2019年4月号で、「(OP第1弾の)コンセプトは『運命』です」と語りました。

監督によると、眠れる奴隷のポーズは使えず、冒頭に入ったのはローリング・ストーン(ズ)だけでした。

第2弾OP「裏切り者のレクイエム」の冒頭で手の甲にキスをする男は、最終話のラストでジョルノの前にひざまずく男です。2つの場面のつながりは、アニメージュプラス(2019年7月28日)が指摘しています。

ジョジョの矛盾と言われる点|直されたもの・説明があるもの

よく「矛盾」と言われる5つのうち、作者が直したのは第1部『ファントムブラッド』のツェペリ男爵の台詞です。

5つの扱いと根拠の位置を整理しました。

矛盾と言われる点実際根拠
ツェペリ男爵は「結婚もしなかった」のに孫のシーザーがいる作者が台詞を直し、巻末に謝罪文第4巻
第3部は何年の話か資料で2通り(1987〜88年と1988〜89年)画集『JoJo6251』の年表/単行本冒頭の家系図
仗助の身長原作に185cm(成長中)と180cmの2通り第29巻75ページ/第33巻9ページ
仗助だけ左肩の星のアザが描かれない原作では描かれず、TVアニメでは描かれる第4部の原作/TVアニメ
矢に刺されてもレクイエムにならないレクイエムは矢で「スタンドを貫く」と生まれる第5部

残りの4つは、資料や巻によって記載が2通りあるもの、原作とアニメで描き方が違うもの、原作の決まりで解けるものです。

ツェペリ男爵は『週刊少年ジャンプ』の掲載時、「結婚もしなかったし家族も持たなかった」と語っていました。ところが第2部『戦闘潮流』には、孫のシーザーが登場します。

単行本第4巻では、若いころに結婚していたが家族を捨てた、という台詞に改められました。同じ巻の巻末には謝罪文が載り、TVアニメも直したあとの台詞に合わせています。

台詞がどう直されたかは、シーザー・ツェペリの記事で確かめてみてください。

第3部『スターダストクルセイダース』の年は、資料で2通りに分かれます。画集『JoJo6251 荒木飛呂彦の世界』の年表などでは1987〜88年です。

単行本冒頭の家系図などでは、1988〜89年になっています。記事やサイトによって第3部の年がずれて見えるのは、もとにした資料が違うからです。

レクイエムは、矢でスタンドを貫いたときに生まれる能力です。第4部で吉良吉影に矢が刺さったときは、刺さったのが本体なので、この条件に当たりません。

よくある疑問

部をまたいだ回収と、伏線が残る理由についての4つの疑問です。

第4部の伏線は第8部で回収されたのか

回収されていません。第8部の杜王町は第4部と同じ地名の別物で、第4部の謎の続きを描く作りではないからです。

第4部の知識がいらない作りは、記憶のない主人公にかけた作者のジョークでもあります(『ジョジョリオン』第1巻カバー)。

第4部の謎のうち、仗助を助けた少年には1994年、静の再登場には2003年に、作者が答えを出しています。どちらも、第8部の連載が始まる2011年より前の話です。

伏線が回収されないのはなぜか

作者が自分で語った理由は、項目ごとに違います。

  • 第4部: 長い構成を先に決めていなかった(「全然構成とかしていないんですけど」、1994年の対談)
  • フーゴの離脱: 裏切りの話を描けず、構想を変えた(文庫版第39巻のあとがき、2005年)
  • 未起隆の正体: どちらか分からないほうが面白いので、決めていない(『JOJO A-GO!GO!』、2000年)

ネットでよく見る「作者が忘れたから」は、この3つのどれとも違う説明です。

ジョジョは伏線がない作品なのか

部をまたいで回収された伏線もあります。第1部の最終話に出てきた2つは、第2部と第3部で答えが描かれました。

第6部の最終巻の例も足して、表にしました。

伏線回収された中身根拠の巻
第1部最終話でエリナが救った赤ん坊第2部のリサリサ(ジョセフの実母エリザベス)第5巻→第12巻
首だけで生き延びたディオ第3部で、ジョナサンの首から下を乗っ取っていたと分かる第5巻→第12巻
一巡後に出てくる徐倫に似た女性徐倫本人ではなく、一巡後の世界の別人アイリン第6部第17巻

3つとも、答えが出るのは部の最初の巻か最終巻です。途中で放っておかれたように見える謎も、部の区切りまで読んでから札を決めてみてください。

一巡後の世界に承太郎や徐倫がいない理由は、メイド・イン・ヘブンの仕組みの記事へ。

ジョジョリオンの謎は第9部で回収されるのか

答えはまだ出ていません。第9部『The JOJOLands』は、2026年10月時点で連載中です。

根拠となる作者と監督の発言

札の根拠になった発言を、媒体と年でまとめました。

発言出典(媒体と年)それが示すこと
「あれはただの仗助の思い出ですよ」第3部OVAの北久保弘之監督との対談(1994年)仗助を助けた少年は伏線ではない
「全然構成とかしていないんですけど」同じ対談(1994年)第4部は長い構成を決めずに描かれた
静の再登場は「ないです(笑)」フジテレビ『週刊少年「」』100の質問 Q73(2003年)静の再登場はない
「本当はどっちなんだろうな、というのが面白い」『JOJO A-GO!GO!』(2000年)未起隆の正体は決めていない
「どーしても描く事が出来ませんでした」文庫版第39巻のあとがき(2005年)フーゴの離脱は構想の名残
第4部と同じ地名でも別物『ジョジョリオン』第1巻カバー(2011年)第8部は第4部の知識を前提にしない
巻末の謝罪文単行本第4巻ツェペリ男爵の台詞は作者が直した
「(OP第1弾の)コンセプトは『運命』です」木村泰大監督、アニメージュ2019年4月号第1弾OPは最終話につながる演出

仗助の恩人と静の再登場、構想を変えたフーゴの離脱の3つが、「伏線ではなかった」の札に入ります。

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参考

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