黄金の回転エネルギーとは|黄金長方形を乗せたツェペリ家の技術

黄金の回転は、ツェペリ家に伝わる鉄球の「回転」に、自然界の黄金長方形から取った軌跡を乗せたものです。スタンド能力ではなく技術で、ジョニィはこれを自分のスタンド、タスクの爪に乗せて撃ちました(第7部第10〜11巻)。

「黄金長方形を見たあと、どうすると黄金の回転になるの?」「無限の回転や騎兵の回転と何が違うの?」は分かりにくいところ。この記事では「黄金の回転エネルギーとは何か」を、黄金長方形の仕組みから鉄球とタスクの違いまで巻数つきで整理しました。

この記事は第7部の終盤(第24巻)までの展開と、ジャイロや大統領の最期に触れます(ネタバレを含みます)。

黄金の回転とは

黄金の回転を加えると、ジャイロの鉄球は真の力を発揮します(第7部第11巻)。その土台にあるのが、ツェペリ家が受け継いできた鉄球の「回転」という技術です。

前提として、次の4点を知っておくと話が追いやすくなります。

  • 鉄球の回転は、体を動かさずに手のひらの物体へ回転を加える技術。回転する鉄球の振動が「波紋」を生み、相手の体に効く
  • 代々処刑人と医者を務める一族が「処刑と医術」のために発展させた技術で、スタンド能力ではない(第7部第10巻)
  • 鉄球の「波紋」は回転の振動から生まれるもので、呼吸で練る波紋とは生まれ方が違う(第1部・第2部の波紋との違い)
  • ジョニィのタスクは、第2ステージの「悪魔の手のひら」で遺体の左腕に取り憑かれて身につけたスタンド(第7部第4巻)

押さえどころは、回転を乗せる道具が2つあることです。ジャイロの鉄球は技術で、ジョニィの爪はスタンド。この2つを分けておくと、あとで呼び名が増えても迷いません。

黄金長方形とは

黄金の回転の「黄金」は、黄金比という図形の比のことです。名前は聞いたことがあっても、どんな形の長方形かはぼんやりしがちですよね。

正方形を切り取っても同じ形が残る長方形

黄金長方形は、縦と横の比が黄金比(1:1.618…)になっている長方形です。黄金比の値は (1+√5)/2=1.6180339887… で、「0.618…:1」と書いても同じ比を表します。

この長方形から一番大きな正方形を切り落とすと、残りがまた黄金長方形になります。もう一度切り落としても同じ形が残り、何度くり返しても終わりません。

切り取った正方形ごとに四分円をつなぐと、渦を巻く線が描けます。「正方形を取っても同じ形が残り続ける図形」と覚えておくと、作中の説明が頭に入りやすくなります。

「1:0.618」「1:1.618」「9対16」の違い

作中でジャイロが口にする比は、雑誌の連載時と単行本とで数字が違います。どちらも黄金比として正しく、誤っているのは近似として出てくる「9対16」のほうです。

どこに出てくる数字なのかとあわせて、3つの表記の正しさを表で見比べます。

表記どこに出てくるか黄金比として正しいか
1:0.618雑誌の連載時のジャイロの説明正しい(長い辺を1とした書き方)
1:1.618単行本第11巻(連載時から直された)正しい(短い辺を1とした書き方)
9対16近似として言う場面(単行本でも直されていない)正しくない(約1:1.778)

実は10対16(=1:1.6)のほうが黄金比に近く、9対16は画面の縦横比の1つです。数字で覚えるなら「1:1.618」で、9対16は黄金比ではないと押さえておけば混乱しません。

原作では大自然の観察から見つける

ジョニィが黄金長方形を見つけるきっかけは、ジャイロのLESSON4「敬意を払え」です。大自然を敬意をもって観察し、そこで得た「黄金比の回転」の軌跡で爪を回したのがACT2です(第7部第11巻)。

この流れは、巻と話の題にもそのまま出ています。第11巻の題は「黄金長方形をつくれ!」で、第43話と第44話は連載時に「黄金長方形」「黄金の回転へ!」という題でした。

黄金の回転の中身を原作で確かめたいなら、最初に開くのは第11巻です。

黄金の回転・無限の回転・騎兵の回転の違い

呼び名が変わるのは、回転に足されるものが「黄金長方形 → 無限 → 馬の力」と増えていくからです。しかも同じ段階が、ジャイロの鉄球とジョニィの爪とで別々の巻に出てきます。

呼び名が多いうえに道具が2つあるので、ここは一番混ざりやすいところ。鉄球とタスクを分けて並べると、次の表になります。

段階ジャイロの鉄球(技術)ジョニィのタスク(スタンド)
回転手のひらの鉄球に回転を加える(第1巻〜)爪を回して撃つACT1(第4巻)
黄金の回転黄金長方形を見て加え、真の力を出す(第11巻)ACT2「黄金比の回転」(第11巻)
無限の回転ボール・ブレイカーの無限回転エネルギー(第21巻)ACT3「無限の回転のタスク」(第15巻)
騎兵の回転第8ステージで会得(第21巻)ACT4。必ず馬の脚力を使う(第22巻)

注意したいのが、ACT4だけが無限の回転というわけではない点です。「無限の回転のタスク」と呼ばれるのはACT3で、ACT4より前の第15巻に出てきます。

ACT4の呼び名は「騎兵の回転のタスク」です(第22巻)。各ACTの能力の細部は、タスクのACT1〜ACT4の解説で確かめられます。

段階1 「回転」はツェペリ家の鉄球の技術(第1巻〜)

ジャイロは手のひらに収まる大きさの鉄球を、両脇のガンベルトに1つずつ入れています。作中で何度も壊れますが、鉄を削って作り直し、いつも2個をそろえています。

回転の力がまず見えるのは、物語の冒頭です。20ドルを盗んだ男との決闘で、男は鉄球の回転で手元が狂い、自分の頭を撃ち抜きます(第7部第1巻)。

第1ステージでは、鉄球の力で1着になりました。ところがサンドマンへの走行妨害とされ、21位に降格されています(第1〜3巻)。

ジョニィが回転に出会うのも第1巻です。回転の余波を受けて動かなかったはずの脚がわずかに動き、その秘密を知るためにレースに出ます。

黄金長方形が回転に加わるのは、この先の第5ステージに入ってからです。

段階2 「黄金の回転」は黄金長方形を乗せた回転(第11巻)

黄金の回転が戦いで形になるのは、第5ステージのサンドマン戦です(第7部第10〜11巻)。窮地に追い込まれたジョニィは、ここで黄金の回転のACT2を身につけます。

ACT2の弾痕は、十数秒のあいだ回り続けます。外れても目標を自動で追いますが、弾は両手の指の数と同じ10発までです(第11巻)。

決め手になったのは、ACT2の爪弾と即席の小鉄球でした。この2つを受けたサンドマンは敗れ、死亡します(第11巻)。

ACT2の誕生もサンドマン戦の決着も、第11巻で読めます。

段階3 「無限の回転」はタスクACT3で出てくる(第15巻)

第7ステージで身につけるACT3は、「無限の回転のタスク」です(第7部第15巻、第56〜59話)。

自分の体を撃って回転に巻き込み、移動する弾痕から体を出せるのが特徴です。弾痕に入れるのはジョニィだけで、ほかの物が触れると粉砕されます。

ツェペリ一族も考えなかった新しい回転の世界に、ジョニィの爪がここで踏み込みます。

段階4 「騎兵の回転」は馬の力を足した回転(第21〜22巻)

騎兵の回転は、中世の騎士の盾や甲冑を突き抜けるためにツェペリ一族が開発した技術です。長く廃れていたものを、ジャイロが第8ステージで復刻させました(第7部第21巻)。

回転のもとは、ジャイロ自身の投球と、馬の走行形から得た2つの黄金長方形です。放たれた鉄球の無限回転エネルギーは像(ヴィジョン)を持ち、鉄球が止められても次元の壁の防御を超えます。

これがボール・ブレイカーです(第21巻、第83〜84話)。ジャイロは大統領をあと一歩まで追い詰めますが、僅差で敗れて死亡します。

その回転を受け継いだのがジョニィです。LESSON5とLESSON1で進化したACT4は、「騎兵の回転のタスク」です(第22巻、第85〜87話)。

撃つには必ず馬の脚力が要ります。ジョニィはこのACT4を大統領にたたき込み、大統領を倒します(第22〜23巻)。

鉄球の側の細部は、ボール・ブレイカーの能力と登場する巻の記事が詳しいです。

「完全なる黄金の回転エネルギー」とは

「完全なる黄金の回転エネルギー」は、タスクACT4が生まれる場面を指す言い方です。

この言葉は、集英社文庫版『STEEL BALL RUN』第15巻の内容紹介に出てきます。発売は2018年1月18日です。

紹介文は、ジャイロの遺した「LESSON5だ」をジョニィが思い返す場面から始まります。爪弾は次元の壁を破れず、愛馬も傷を負ったその時、ジョニィの手には一発の鉄球。

最後は、次の一文で締めくくられています(集英社文庫版第15巻の内容紹介、2018年)。

ジャイロが伝えたかった真意を理解した時、完全なる黄金の『回転エネルギー』は発現する!

文庫版第15巻は第84〜89話を収めた巻です。この場面は、単行本なら第22巻(第85〜87話)にあたります。

不完全な回転に終わったのは、その前のジャイロの鉄球です。ルーシーを馬に乗せていたため、投球がラブトレインの光のヒビの上を通ります。そのせいで鉄球が歪み、真球でなくなりました(第21巻)。

それでも大統領には、皮膚が老化し、髪の毛が抜け落ちる現象が起きています。ただし、とどめを刺すには至りませんでした。

歪んだ鉄球の不完全な回転と、その先でジョニィが届くACT4の「完全なる」回転。2つを対にして読むと、紹介文の言葉の意味がつかみやすくなります。

黄金の回転エネルギーでできること・できないこと

回転でできることは、振動の「波紋」に始まり、段階が進むと次元の壁の防御を超えるところまで広がります。原作で描かれた場面だけを表にしました。

項目できる・できない根拠(第7部の巻)
振動の「波紋」で生き物の体に効果を起こすできる第1巻〜
外れた爪弾が目標を追う(ACT2)できる。弾痕は十数秒回り続ける第11巻
自分の体を巻き込み、弾痕から出す(ACT3)できる。入れるのはジョニィだけ第15巻
鉄球を止められても回転を届かせるできる。次元の壁の防御も超える第21巻
歪んだ鉄球でとどめを刺すできない。不完全な回転に終わる第21巻
ラブトレインの光を抜ける騎兵の回転エネルギーだけができる第21〜22巻
馬なしでACT4を撃つできない第22巻
撃ったACT4をジョニィ自身が止めるできない。逆方向の無限の回転で相殺するしかない第22巻

要するに、黄金長方形・無限・馬と足していくほど、自然の観察・真球・馬という条件も増えます。真球でない鉄球や馬のいないACT4が「できない」になるのは、そのためです。

ACT4の止め方と、撃たれて生き延びた例はタスクACT4の発動条件と止め方で追えます。

よくある疑問

黄金の回転について気になりやすい6つの疑問に、巻数つきで答えます。

黄金の回転はスタンド能力なのか

原作では、黄金の回転はスタンドではなく技術です(第7部第10巻)。ジョニィ側の黄金の回転は、スタンドであるタスクの爪に乗った回転になります。

境目にあるのがボール・ブレイカーです。劇中ではスタンドと説明されません。ところが『JOJOVELLER完全限定版』(集英社、2013年)では、スタンド能力として扱われています。

荒木飛呂彦は同書の『STANDS』(258〜297頁)のコメントで、技術が最終的にスタンド能力化したと解説しています。

ちなみにジャイロ自身のスタンドは、遺体の右眼の力による「スキャン」です。家に伝わる黄金の回転とは、出どころが別のものです。

黄金の回転のやり方は原作でどう説明されているか

黄金長方形を見つけたあと、何をすれば黄金の回転になるのか。ここは、原作を読んでいても迷いやすいところです。

原作で確かめられる手順は、次の3つです。

  1. 大自然を敬意をもって観察し、黄金長方形を見つける(LESSON4「敬意を払え」、第7部第11巻)
  2. 見つけた黄金長方形の軌跡で回転させる。ジャイロは鉄球を、ジョニィは爪を回す(第11巻)
  3. 騎兵の回転では、自分の投球と馬の走行形から得た2つの黄金長方形を使う(第21巻)

いずれも作中の技の話で、現実で試す手順は書かれていません。

ジャイロのLESSONは黄金の回転とどうつながるのか

黄金の回転とのつながりでまず押さえたいのは、ACT2とACT4が生まれる2つの場面のLESSONです。

LESSON4「敬意を払え」からは、ACT2が生まれます(第7部第11巻)。LESSON5とLESSON1では、ACT4へ進化します(第22巻)。

第85〜89話は、連載時の題がそのまま「LESSON5」でした。単行本では「ボール・ブレイカー その③〜⑤」などの題に変わっています。

番号で覚えるなら「4がACT2、5と1がACT4」です。

ウェカピポの鉄球(レッキング・ボール)も黄金の回転なのか

ウェカピポのレッキング・ボールは、ツェペリ一族とは異なる系統の鉄球の技術です。ツェペリ家の鉄球とは、伝わる目的から鉄球のつくりまで違います。

項目ツェペリ家の鉄球レッキング・ボール
家に伝わる目的処刑と医術王族護衛のための戦闘
鉄球のつくり手のひらに収まる鉄球が2つ「衛星」と呼ばれる14個の小鉄球つき
当たると起きること振動の「波紋」で体にさまざまな効果衛星がかするだけで十数秒の「左半身失調」
スタンドか技術(スタンドではない)技術(スタンドではない)

2つの鉄球がぶつかるのは、第6ステージの戦いです(第7部第13〜14巻)。第51話は、連載時に「鉄球VS鉄球」という題でした。

ウェカピポは僅差で敗れ、ジャイロは第6ステージを1位でゴールします(第14巻)。同じ鉄球使いでも系統が違う、と分けておけば2つが混ざりません。

ザ・ワールドやメイド・イン・ヘブンと比べるとどうなのか

黄金の回転が、第3部のザ・ワールドや第6部のメイド・イン・ヘブンと戦う場面は、第7部の原作には出てきません。

荒木飛呂彦は、第7部を第6部終盤の出来事が影響した新しい世界の作品だと明言しています。語っているのは単行本第1巻と『青マルジャンプ』(2004年)です。

原作で確かめられるのは、並行世界から来たディエゴのTHE WORLDとの戦いです(第23〜24巻)。時を止める相手にACT4がどう効いたかは、タスクACT4の発動条件と止め方の記事で詳しく読めます。

アニメで黄金の回転が出てくるのはいつか

黄金長方形とACT2が出てくるのは、原作の第5ステージ(第7部第10〜11巻)です。

配信中の2nd & 3rd STAGE(2026年10月25日時点)は、原作の第2・第3ステージにあたります。巻でいえば第3〜7巻の範囲です。

公式サイトのあらすじでは、#03でジョニィが「回転」の習得を試みています。#03の題は「砂漠で生まれたならず者」で、原作では第3巻の話です。

つまり、いま配信中の範囲(第3〜7巻)には、黄金の回転はまだ出てきません。配信済みの話数は、いま何話まで配信されているかをまとめた一覧で確かめてください。

根拠となる原作の描写と発言

手元の本で確かめたい人のために、答えの元になった場面と発言を8つ、出典つきで表にしました。

描写・発言出典それが示すこと
鉄球の回転は「処刑と医術」の技術で、スタンド能力ではない第7部第10巻黄金の回転はスタンドの力ではない
黄金比の説明が連載時の「1:0.618」から「1:1.618」へ第11巻どちらの書き方も黄金比
ACT2は黄金長方形から見出した「黄金比の回転」第11巻黄金の回転は自然の観察から
ACT3は「無限の回転のタスク」第15巻無限の回転はACT4だけの呼び名ではない
投球と馬の走行形の2つの黄金長方形。非真球で不完全な回転に第21巻騎兵の回転の中身と、不完全に終わった理由
ACT4はLESSON5とLESSON1で進化し、必ず馬の脚力を使う第22巻馬なしでは撃てない
「完全なる黄金の『回転エネルギー』」集英社文庫版第15巻の内容紹介(2018年)ACT4が生まれる場面を指す言い方
技術が最終的にスタンド能力化した(荒木飛呂彦)『JOJOVELLER完全限定版 STANDS』(2013年)ボール・ブレイカーは技術とスタンドの境目

手元に単行本があるなら、第11巻と第21〜22巻を開くと、この記事の流れがそのまま追えます。

関連する記事

各ACTやボール・ブレイカーの細部まで知りたいなら、次の記事もあわせて読んでみてください。

参考

コメント

タイトルとURLをコピーしました