ジョジョの聖なる遺体は9部位に分かれた聖人のミイラ|大統領の目的

聖なる遺体は、ジョジョ第7部『スティール・ボール・ラン』のレースの裏で奪い合われる、ある聖人のミイラです。1人分の遺体が心臓・左腕・両眼など9つの部位に分かれ、北アメリカ大陸に散らばっています。

人の体に入り込むと、スタンド能力を目覚めさせるなどの奇跡を起こすのが特徴です。所有する国には、1000年の栄光と繁栄が約束されるとされています。

その遺体を9つすべて集めようとするのが、ヴァレンタイン大統領です。

ややこしいのは、部位の持ち主が何度も入れ替わるところと、大統領が「国の繁栄」と遺体を結びつける理由。この記事では、9つの部位の持ち主と巻数、全部そろうと起きること、大統領の目的を順番に整理しました。

第7部の結末(第24巻)と、第8部『ジョジョリオン』第5巻で語られるその後にも触れます。ネタバレに注意してください。

聖なる遺体とは

聖なる遺体は推定1900年前のミイラで、腐ることがありません。物語を読む前に押さえておきたい設定は、次の4つです。

  • アリマタヤのヨセフが書き記したとされる地図に、9つの部位のありかが記されている
  • 作中の聖人は「死後、最低でも2度以上の奇跡を起こした人物」と定義されている
  • 手にした人の体内に入り込み、スタンド能力を目覚めさせたり、半身不随のジョニィの足を動かしたりする
  • 遺体を所有する国には、1000年の栄光と繁栄が約束されるとされている

4つ目の言い伝えは、このあと大統領の目的を読むときにも出てきます。

大統領は地図に気づき、スティーブン・スティールが企画した大陸横断レースを裏で後押ししました。レースの道筋は、地図が示す遺体のありかに沿っています。

裏の目的が明かされるのは第7部第5巻で、巻の題は「大統領の陰謀」です。レースの順位争いと遺体の奪い合いが同時に進むので、2本の筋を分けて読むと迷いにくくなります。

聖なる遺体は9つの部位に分かれている(誰が何巻で手にしたか)

遺体は何体もあるのではなく、もとは1人分です。両眼は1つの部位として見つかり、フェルディナンド博士戦のあとで右眼と左眼に分かれます(第6〜7巻)。

部位ごとに、最初に手にした人物と場面をまとめました。巻は第7部の単行本の巻数です。

部位最初に手にした人物と場面原作の巻
心臓ヴァレンタイン(レース前、砂漠の流砂の中)第6巻・第17巻
左腕ジョニィ(第2ステージ、悪魔の手のひら)第4巻
両眼右眼はジャイロ、左眼はディエゴ(第3ステージ)第6〜7巻
脊椎ルーシー(第4ステージ、ジョニィたちに託す)第9巻
右腕ジョニィとジャイロ(第6ステージ、シュガー・マウンテンの泉)第11巻
両耳ジョニィとジャイロ(右腕と同じ泉)第11巻
両脚ジョニィとジャイロ(第6ステージ、小さな狼が持っていた)第14巻
胴体アクセル・RO(第7ステージ、ゲティスバーグ)第15巻
頭部ルーシー(第8ステージ、体の中に宿す)第16巻

心臓だけはレース前から大統領の手にあり、得た経緯は第6巻と第17巻で2通りに描かれています。ほかの8つは、レースの道中で見つかっていきます。

表の人物が、そのまま最後まで持ち続けるわけではありません。読んでいて「今だれが持っているの?」と迷ったら、次の表に戻ってきてください。

持ち主の移り変わり(第9〜19巻)

持ち主が入れ替わるのは、奪われたときと、自分から手放したときです。主な場面を、巻の順に追います。

巻出来事
第9巻ルーシーが脊椎をジョニィたちに託し、脊椎はジョニィの体に宿る
第9〜10巻ジャイロが右眼をルーシーに譲る
第11巻サンドマン戦のあと、ホット・パンツがジョニィの左腕と脊椎を奪う
第11〜12巻ジョニィたちが右腕と両耳を手に入れるが、11人の男たちの最後の1人にワインと引き換えに渡す
第14巻ウェカピポ戦のあと、ジョニィたちが両脚を手に入れる
第15巻胴体を持つアクセル・ROのもとに部位が集まり、その大部分を大統領が奪う
第16巻ルーシーが頭部を体の中に宿す
第18巻大統領がディエゴから左眼を奪い、逃げようとしたルーシーを捕らえる
第19〜20巻集めた部位がルーシーの体と一体になる

大統領がほとんどの部位を手にするのは、第15巻と第18巻の2回です。最後に残った頭部はルーシーの体の中にあり、そのルーシーも第18巻で捕らえられます。

遺体を集めると何が起きるのか

1つの部位でも、宿った人に力が目覚めます。9つすべてがそろうと、ルーシーの体を通して大統領のスタンドそのものが変わります。

部位が体に入ると力が目覚める

どんな力が目覚めるかは、宿った人によって違います。

人物(部位)目覚めた力原作の巻
ジョニィ(左腕)タスク ACT1第4巻
ジャイロ(右眼)スキャン第6〜7巻
ディエゴ(左眼)スケアリー・モンスターズ第7巻
ルーシー(頭部)涙の乗車券(チケット・ゥ・ライド)第18巻
ヴァレンタイン(全部位)D4C -ラブトレイン-第20巻

ジャイロのスキャンは、第4ステージで右眼をルーシーに譲ったあとは出てきません。遺体から来た力なので、手放すと消えたのです。

ジョニィのほうは、第11巻でホット・パンツに遺体を奪われたあとも、タスクを使い続けます。遺体を失ったあとに力が残るかどうかも、人によって違うわけです。

全部そろうとルーシーと一体になる(第19〜20巻)

大統領に捕らえられたルーシーは、第19〜20巻で集められた部位と一体になり、遺体そのものに変わりかけます。人間としての命も失いかけました。

遺体が離れて助かるのは、ジョニィが大統領を倒したあとの第23巻です。

頭部を宿してからのルーシーの動きは、ルーシー・スティールのスタンドと最後で追えます。

大統領のD4Cがラブトレインになる(第20巻)

完全な遺体となったルーシーを基点に、光の空間の隙間が生まれます(第20巻)。この隙間を移動できるのは、大統領だけです。

遺体には、この世のあらゆる善が隙間を通って集まります。害悪は隙間に入れず、遠くのどこかへ飛ばされます。

大統領への攻撃も届きません。災厄の形に変わり、どこかの誰かが肩代わりするからです。

要するに、全部そろった遺体は「善は手元に、不幸はよそへ」と働きます。細かい仕組みと破られ方は、D4Cとラブトレインの能力で確かめられます。

ヴァレンタイン大統領が遺体を集める目的

大統領が遺体を集めるのは、アメリカを「世界のすべての中心」にするためです。

「国の繁栄」と「遺体集め」がどうつながるのかは、分かりにくいところですよね。言い伝え・信条・ラブトレインの3つに分けて見ていきましょう。

遺体を持つ国は栄えるという言い伝え

1つ目は、遺体を所有する国に1000年の栄光と繁栄が約束される、という言い伝えです。

フェルディナンド博士も、第7巻第31話で似たことを語っています。遺体をすべて手に入れた者は、真の力と永遠の王国を手にできる、というものです。

ここで条件になっているのは、一部ではなくすべてを手に入れることです。

「最初にナプキンを取る者」の信条(第16巻)

2つ目は、大統領の信条です。第16巻第61話で、大統領はテーブルに並ぶナプキンのたとえを語ります。

右と左のどちらのナプキンを取るかは、最初に取った人で決まり、ほかの全員がそれに従う、という話です。土地の値段も法律も、世の中の決まりは同じように最初の1人が決めてきた、と大統領は続けます。

最初に取る人は、皆に敬われていなければなりません。イエス・キリストが同じテーブルにいれば、法王でさえ後から取るしかない、とも言います。

大統領にとって、皆が敬うものが遺体でした。遺体を手にした国が「最初にナプキンを取る者」になり、国民の安全も守れる、という考え方です。

不幸をよそへ押しつけるラブトレイン(第20巻)

3つ目は、幸せの量についての考えです。大統領は、世の中はプラスとマイナスが釣り合っていて、全員が幸せになることはないと考えています。

プラスはアメリカが取り、マイナスは他国に押しつける。それが大統領のやり方です。

ラブトレインが発動するのは、第20巻第78話です。大統領はそこでも、幸福の裏には必ず不幸な者がいて、神の視点では差し引きゼロだと語ります。

害悪をよそへ飛ばす遺体の力は、この「マイナスは他国へ」というやり方とそのまま重なります。同じ第78話で、大統領は自分が最初のナプキンを取ったと叫びました。

大統領の経歴や心臓を得た経緯、最期の巻はヴァレンタイン大統領のスタンドと最期にまとめています。

聖なる遺体はその後どうなったのか

大統領が倒れたあと、遺体はニューヨークの教会の地下にあるシェルターに納められます(第7部第24巻)。そこまでの流れと第8部で語られる話を、時期の順に表にしました。

時期(巻)出来事
第7部第23巻大統領が倒れ、遺体がルーシーから離れる。直後に並行世界のディエゴが奪う
第7部第24巻並行世界のディエゴが、遺体を教会の地下のシェルターへ運ぶ
第7部第24巻ルーシーが「この世界で死亡したディエゴ」の生首を持って先回りし、並行世界のディエゴは消滅する
第7部第24巻ルーシーが自分の手指を見つめ、納骨堂を去る
『ジョジョリオン』第5巻1901年にジョニィが遺体を持ち出した、という伝承が語られる

第7部は、遺体が教会の地下に納められたところで幕を閉じます。第8部では、その遺体が持ち出された話が伝承として出てきます。

注意したいのが、第24巻でジョニィが背負う棺です。中に入っているのはジャイロの遺体で、聖なる遺体ではありません。

第8部『ジョジョリオン』で語られる1901年の持ち出し

遺体のその後を語るのは、『ジョジョリオン』第5巻(第22話)のペット屋の老人です。ファンタジーとして伝わってきた話、という形をとっています。

ジョニィは妻・理那の病を治すために、遺体を盗み出しました。病を、世界のどこかにいる誰かに引き受けさせようとしたのです。

ところが病は「等価交換」で、息子のジョージに移りました。遺体は、盗んだジョニィを追って来日したアメリカ政府のエージェントが回収し、帰国したとされます。

第7部で封じられた遺体は、1901年に一度持ち出され、また国の手に戻ったわけです。

遺体の等価交換がロカカカや壁の目とどう違うかは、ロカカカ・新ロカカカ・壁の目の違いで比べています。遺体の持ち出しから始まった東方家の病の結末は、ジョジョリオンの結末で追えます。

よくある疑問

遺体の正体や呼び方、アニメでいつ出てくるかなど、気になりやすい6つの疑問に答えます。

遺体の正体はイエス・キリストなのか

原作では、遺体の主の名前ははっきり書かれていません。作中では「あのお方」と呼ばれ、ジョニィは「イエス様」だと見ています。

名前の代わりに描かれるのが、第17巻第67話の来歴です。十字架刑の3日後に蘇った人物が、アリマタヤのヨセフに砂の上で9つの場所の地図を描いて見せます。

その人物は東へ向かい、アジアから船でアメリカに渡って生涯を終えます。死後すぐの大地震と嵐で、遺体は9つに分かれました。

第15巻では、迷いの中にいるジョニィの背後に遺体の主が現れます。かけた言葉は「心が迷ったなら撃つのはやめなさい」でした。

荒木飛呂彦は第7部第24巻(集英社、2011年)の作者コメントで、遺体について書いています。「最後までハッキリとは言いきりませんでしたが、『清らか』なものの象徴として書きました」という言葉です。

原作の描写はイエスを強く示していますが、作者は名前を言い切っていません。「描写が示すもの」と「作者の言葉」を分けて覚えておくと、正体の話で迷わずにすみます。

「聖人の遺体」と「聖なる遺体」はどちらが正しいのか

どちらも同じものを指す呼び方で、片方が誤りということはありません。第24巻の作者コメントでは「聖なる遺体」と書かれています。

作中では、ただ「遺体」と呼ぶ場面もあります。第7巻のフェルディナンド博士の言葉や、第12巻の題「遺体への条件 友情への条件」がその例です。

ほかの場所で「聖人の遺体」と書かれていても、この記事の聖なる遺体と同じものだと思って大丈夫です。

ジョニィたちはなぜ遺体を集めるのか

遺体を追ったのは、大統領だけではありません。理由は人それぞれで、同じ遺体に別々の願いがかかっています。

人物遺体を求めた理由
ジョニィジャイロの鉄球の回転と遺体に希望を見出し、歩けるようになりたい
ジャイロ優勝して祖国で恩赦を得るのが第一。ジョニィに付き合う形で遺体を追う
ホット・パンツローマ法王庁の修道女。遺体を集めれば、弟を死なせた罪が赦されると信じている
ディエゴ賞金も名誉も遺体も奪い、成り上がって社会を支配したい
サンドマン遺体を、国と交渉する材料にする(第11巻第43話)
ルーシー大統領に利用されている夫を助けたい(第8〜9巻)

同じ遺体でも、ジョニィには自分の足、大統領には国の行方がかかっていたことになります。

遺体はなぜ「基本世界」にしかないのか

なぜ基本世界にだけあるのかは、原作では明かされていません。分かっているのは、無数の並行世界のうち、物語の舞台の世界にしか遺体がないことです。

ディエゴは第18巻第70話でそう結論づけ、大統領本人も明言しています。ほかの世界でもレースは開かれ、ダイヤモンドなど遺体とは別のものが奪い合われています。

「基本世界」とは、遺体があり、D4Cを持つ大統領が生きているこの世界のことです。並行世界の大統領たちも、基本世界で遺体を集める大統領に協力しています。

遺体がこの世界にしかない以上、集めるには大統領もこの世界に戻るしかありません。

「悪魔の手のひら」と遺体は関係があるのか

ジョニィに遺体の左腕が宿ったのは、第2ステージの「悪魔の手のひら」の中でした(第4巻、第18〜19話)。

悪魔の手のひらは、アリゾナ砂漠を移動する謎の土地です。作中のインディアンの伝承では、大昔に落ちた隕石の影響で生まれたとされています。

マウンテン・ティムによれば、そこから生きて戻った人がスタンド使いになります。遺体がなくてもスタンドは目覚め、オエコモバは悪魔の手のひらを越えてスタンドを得ました。

第7部でスタンドが目覚めるきっかけは、主に悪魔の手のひらと遺体の2つです。ジョニィの場面では、その2つが同じ場所で重なっていました。

アニメではいつ遺体が出てくるのか

アニメ公式サイトのあらすじは、2026年10月25日時点で第5話まで公開されています。そのどれにも、「遺体」という言葉はまだ出てきません。

第4話の題は「悪魔の手のひら」、第5話は「遠い国から来たテロリスト」。どちらも原作第4巻の話の題と同じです。

レースの裏の目的が明かされる原作第5巻は、公開済みのあらすじより先の話にあたります。配信済みの話数は、ジョジョアニメの部ごとの話数で確かめてください。

根拠となる描写と発言

遺体の設定を支える原作の描写と作者の発言を、巻と話つきでまとめました。

描写・発言出典それが示すこと
レースの裏の目的が明かされる第7部第5巻「大統領の陰謀」(第25〜27話)レースは遺体を集めるための仕掛け
大統領が心臓を得た経緯第6巻・第17巻心臓だけはレース前から大統領の手にあった
フェルディナンド博士の「永遠の王国」第7巻第31話力を得る条件は、すべてを手に入れること
ナプキンのたとえ第16巻第61話遺体は「誰もが敬うもの」として求められた
十字架刑・東への旅・9つに分かれる来歴第17巻第67話描写がイエスを強く示す
遺体は基本世界にしかないというディエゴの結論第18巻第70話遺体を集める場はこの世界だけ
幸福と不幸は差し引きゼロという話第20巻第78話大統領の考えと遺体の力が重なる
遺体を運んだ並行世界のディエゴの消滅第24巻第94〜95話遺体は教会の地下のシェルターに納められた
「『清らか』なものの象徴として書きました」第24巻 作者コメント(集英社、2011年)正体は作者も言い切っていない
ペット屋の老人の伝承『ジョジョリオン』第5巻第22話(集英社、2013年)遺体は1901年に持ち出され、政府が回収した

読み返すなら、目的は第5巻と第16巻、正体は第17巻、結末は第24巻を開くと早く確かめられます。

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参考

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